2019年09月19日(木)

④宇宙に点在する水素の惑星

 宇宙には生命の素となる水を含む星がどのくらい存在するのだろうか。以前、NASA(米航空宇宙局)は、無人探査車「キュリオシティー」を使い、星の地表面の土を採取、ふるいにかけ細かい土の粒子を解析したところ、重量比にして約2%の水分が含まれていることを報告した。

 またNASAの宇宙望遠鏡のデータにより、太陽系の中心となる太陽(恒星)に似た星が3500個以上、そして生命の存在に適した地球型の惑星が少なくとも100個以上も存在するという驚くべき内容を知ることになった。

 一般に、広い宇宙の中で生命が存在するには、通常、大気と水が大切で、適度な重力を備えた岩石質の構造を持つ惑星と、熱や放射線が届く距離の中に存在することが条件であった。

 土星や木星では、水素やヘリウムといった軽い元素で構成され、土星の上層大気の成分を調べると、水素が96%、ヘリウムが3%である。その生成の理由では、タイタンの氷にふくまれるアンモニアやメタンが、紫外線で分解されて窒素と水素ができ、とくに軽い水素はタイタンの重力をふりきって宇宙空間に放出されたものとされている。

 一方、地球から約700光年離れた場所に位置する、ある土星型惑星の大気に、やはり大量の水蒸気が含まれていた。NASAの宇宙望遠鏡での観察データでは、種々のノイズを取り除き、光の波長を分析したところ、水素(H)やヘリウム(He)、二酸化炭素(CO2)とともに、大気中には大量の水(H2O)の水蒸気が含まれていた。これは太陽系の惑星とは全く異なる場所に位置する星の生成を解明する発見になり、大変興味あるところである。

 もともと水素を含む多くの惑星が宇宙で誕生するというのは決して不思議ではない。夜空に美しい帯状のハレー彗星も80%は氷(塊)で成り立っており、その帯はイオンテールと呼ばれている。

 広大無辺な宇宙では、多くの惑星間で氷同士が衝突し合い、最初の惑星が誕生し、そのあと様々な軌道と様相を描きながら今の美しい銀河系の宇宙が誕生したのだろう。「水の惑星~地球」もその創世記に水素が大きな役割を演じていたに違いない。水素を抜きに語れない壮大な宇宙ドラマがそこにある。

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