2020年08月21日(金)

地球環境に優しいハラール的「健康美生活」第2回

監修者:(株)プレジール 中野由美子 社長

 2030年頃にはイスラム教徒の数がキリスト教徒の数を抜いて世界一になると言われています。それどころか、いずれ世界の人口の3分の1を占めるとまで言われています。

 つまりこれからの国際社会において、イスラム教徒の人達との交流がより活発になっていく事は容易に想像がつきます。それに伴ってハラールへの理解もまた国際社会を生きていく上で必要不可欠なものになっていく事は間違いないでしょう。

「いきなりそんなことを言われても・・・」と戸惑っている貴方。そんなに身構えなくても大丈夫ですよ。なぜなら、既に皆さん自身が気づかないうちにハラール的生活を送っているからです。

 前回こちらで書かせて頂きましたが、ハラールには健康的・清潔・安全・高品質・高栄養価であるという意味が込められています。

皆さんは普段から「オーガニック」「地産地消」「天然由来」という言葉を使い、それを日々の食事や身だしなみに取り入れているのではないでしょうか?スーパーでは、生産者の顔が見える野菜を、お店では天然由来と書かれた化粧品を、積極的に手にとり購入している人は多いと思います。安心・安全なもの、体が喜ぶものを摂取しようとする考え方こそ、ハラールの考え方に通じるものであり、先程私が、(皆さんが、実はハラール的な生活を気づかないうちに送っていると)申し上げた意味がこれでお分かり頂けると思います。

 健康的・清潔・安全・高品質・高栄養価といったフレーズは、近年話題になっているSDGsやエシカルと相通じる面が多くあります。とはいえ、17の目標、169のターゲットに分かれているSDGsは範囲も広く、あらゆるケースを網羅している反面、皆さんの置かれている境遇によっては、いささか縁遠い分野が含まれている面もあろうかと思います。そういう意味では、安心・安全な「食」や「美」にフォーカスしてハラールを見つめ直すほうが、(このコラムをお読みになっている)皆さんにとっては、馴染みやすく、取り組みやすいと言えるかもしれません。

 私は、イスラム教徒ではありません。しかしハラールの素晴らしさをもっともっと多くの人達に知って頂きたいと思っています。なぜなら、これからの日本人にとって、ハラールへの理解を深め身近に感じるようになることは、とても有意義で意味のあることだと確信しているからです。冒頭申し上げたようにイスラム教徒の数が世界の人口の3分の1を占めるとするならば、彼らの大切にしていることへの理解は、すなわちこれからの国際化にとっては必要不可欠な要素であると言えるでしょう。

 異文化コミュニケーションで大切なのは、相互理解と承認し合うこと。つまり、お互いをよく知り、認め合うことこそが国際社会を生きていく上で大切なのだと、私は思います。

 日本の伝統的な食文化にはハラールに通じるものが多くあり、素晴らしい文化として成立しているにも関わらず、その素晴らしさを認識している人がとても少ないように感じています。まずは自国の素晴らしさを再認識し、そして根本的な部分で共有できる異国の文化への理解を深めることが、大切なのだと思います。

そのための共通認識が、ハラールで言うところの健康的であり、安心であり、安全なのだと思います。

 ただ全てを受け入れ真似ていくというのでは、ハードルが高くなってしまいますよね。でも、日本はクリスマスに代表されるように外国の文化や風習を取り入れて自国の文化の一部として定着させてきた歴史があります。

 イスラム教徒の人達が大切にしている、ハラールというものを身近に感じ、ライフスタイルに取り入れ、リスペクトし合いながらも、どこか新しいスタイルとして定着していけるとしたらどうでしょう?これからの世界基準にもなり得るハラールを身近に感じつつ、新しい世界との繋がり方が見えてくるのかもしれません。

 

 

 

 

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