
日本固有の健康食品素材のひとつに、「日本山人参」がある。ヒュウガトウキといわれるこの素材は、栽培がむずかしく、希少価値の高い素材であることもあってなかなか世に出ることがなかった。食育を合わせてヒュウガトウキの普及啓発につとめているエレガントジャパンの野元多津子社長の素材に 対する思いなどを連載でお届けする。
日本山人参を育てたものの、これをどう商品化するか。お茶にするか、サプリメントにするか、まだ思い描けないでいました。
それまでは販売業を主にしていたので、メーカーの実績もノウハウもありません。日の目を見ていないこの植物をどう展開するか考え続けました。
基本は同業他社がやらないことをやる。そこで3つの方式を打ち立てました。
蚊取り線香方式とは、昔から愛用されている蚊取り線香のパッケージのように商品イメージを定着させるため、頻繁に変えないことを意味します。
アリナミン方式とは、武田製薬の滋養強壮剤「アリナミン」の発売当初、主婦に試飲してもらい、口コミで商品の評判を広げたという手法からきています。
越中富山の薬売り方式とは、対面販売であること。それは売ることを第一に考えず、お客さまとの人間関係を大切にすることです。
この3つをエレガントジャパンの企業理念として掲げたのです。
実際にお客さまと対面すると、話はたいていご自分のことや家族のことになり、そのうち悩みや迷いを打ち明けてくるようになります。それは、営業というより相談会のようでした。わたしの経験や考えにもとづいて背中をポンと押してあげると、それまで悶々としていた方がすっかり元気になって帰っていかれます。それが次第に口コミで広がり、お客さまというより悩める“相談者”が次々にやってくるようになりました。
なかにはわたしが女性だからと甘く見て、商品をだましとろうとした人もいました。お金を払わず逃げた人もいました。チンピラがやってきて、因縁をつけてくることもあり、警察沙汰にもなりました。どんな人がきてもわたしはまったくひるむことはありませんでした。間違ったことをしているわけではないので、怖じ気づく必要はないのです。一度、集金で訪問したある施設に閉じ込められたこともありましたが、そのときも強気を貫きました。この勝ち気な性格は幼いころから変わってはいません。
あるとき噂を聞きつけた地元のテレビ局が取材にきました。
「あなたに人生相談をすると病気が治ると聞いた。それは一種の宗教ではないか」というのです。
当時、オウム真理教が社会問題になっていた時期でした。取材を断ると「放映しないでほしいシーンはカットしますから」といって引き下がらないのです。あまりにもしつこいので従業員に出てもらうことにしたのですが、ハイジャック事件が発生して緊急報道番組に切り替わり、結局放映されることはありませんでした。この時期は、暗いトンネルのなかを歩いているようでした。従業員にも満足な給料も払えず、自分の食費を切り詰めてどうにか凌いでいたのです。その一方で、仕事は多忙を極め、会社に泊まり込むこともしばしばでした。先もわからない毎日でしたが、くじけそうになったことは一度もありません。くじけちゃいけない、そのことばかり考えていました。

