健康ジャーナル

 
  
    

2016年4月19日(火)

顔を出した機能性表示食品素材の全貌

特集∼機能性表示食品制度施行から1年を考える∼素材編
機能性原材料、品質管理手法などの課題も

2015年4月1日にスタートした機能性表示食品制度は1年を経過して、届出受理件数は289件(4月14日現在 取り下げ2件を含む)となった。特定保健用食品(トクホ)が25年かかって約1200件強ということを考えると、現時点で5倍以上のスピードで受理はされているが、これが果たして、早いのか遅いのかはそれぞれの立場にある企業や人間のスタンスによって分かれるのであろう。しかし、一方で、2014年6月5日の安倍首相のスピーチの中にもあった、中小企業にも機能性表示の道をひらくといった概念は、現時点では機能性表示食品制度検討の片隅に追いやられている感は否めない。

そんな中、機能性表示食品の主役として、多くの素材が届出受理されてきている。もちろん実際の届け出は製品ごとではあるが、機能性の多くは、製品に含有される素材の機能性関与成分によって証明されている。医薬品と違って、その機能性が穏やかに効果を発揮されるという食品素材の特性故、その証明は困難を極める。しかも機能性表示食品制度上、根拠論文として被験者に病者が含まれているデータは使用できない。あくまでも根拠データの被験者は、健常者とコンセンサスが取れた境界域の人間のみであり、機能性の証明になる。例えば指標の動きなどはどうしても小さくなり、有意差がつきづらい。ここは科学的な議論が今現在もくすぶっている状況ではあるが、制度上はいかんともしがたく、逆に、こういった厳しい条件下でも、様々な素材が機能性を証明して届出を受理させている現実には驚きを隠せない。素材メーカー企業やブランドオーナー企業、さらには受託企業や関係各研究関連企業や研究者の並々ならぬ努力の結晶であろう。

さらに、機能性表示食品制度においては機能性が証明された素材と製品に使われている素材が同じであることも同時に証明しなければならない。いわゆる「ブリッジング」である。ここは機能性表示食品でなくとも本来は必須の概念であり、今後いわゆる健康食品にもその概念は広がってくることは間違いない。その点、臨床試験で使った素材がそのまま自社素材であれば、ここは大きなアドバンテージとなる。今後はエンドポイントだけでなく、素材の規格に関しても、機能性表示食品制度に合わせた試験デザインをとる企業が増えてくることが予想される。

3月15日に行われた「第3回機能性表示食品制度における機能性関与成分の取り扱い等に関する検討会」において、公益社団法人日本通信販売協会(JADMA)がヒアリングの中で、原材料の安全性確認を①原材料が何であるか確認②食薬区分の確認③基原原料や製造方法の確認(原料メーカーの工場点検)④食経験の評価⑤安全性について文献調査⑥原料に含まれる成分の文献調査⑦原料の安全性試験(必要に応じて)⑧最終製品の確認の8段階とした上で、関与成分が明確でない成分の品質管理に関して、「指標成分での品質を管理」を提言。その品質管理の方法として、原料での指標成分の分析と最終製品での指標成分の分析を行い、この分析結果の届出と定期的な分析の実施で保証が可能とした提言の中で、原材料GMP+指標成分での原材料の品質保証のスキームを提案したことは非常に興味深い(原材料の品質管理に関する記事は10面、11面)。

今回の特集では、7つの具体的な機能性表示食品素材を取り上げて、科学的データや品質保証、マーケティング等を検証してみた。

【本紙につづく】

 
 
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