2014.11.04(火)

ふかせひろしのキトサン徒然草~その7~

キチン・キトサンのオリゴ糖による抗腫瘍効果
1982年に開催された国際会議でマウスに用いた腫瘍増殖阻止効果発表

 

今から32年前、1982年に第2回キチン・キトサン国際会議が札幌で開催された。同会議で報告されたのが鈴木茂生先生(東北薬科大学名誉教授・仙台真菌学研究所)の研究グループによる、マウスを用いた腹水腫瘍の増殖阻止作用の研究成果だ。同研究グループは、この研究成果の上に1985年、サルコーマ180マウスとMethA固形腫瘍マウスを用いて2糖から7糖のキチンオリゴ糖の増殖阻止作用を調べその結果、腫瘍増殖阻止効果の発現を見出したことを報告している。

一方、同時期に東市郎先生(北海道大学名誉教授)、戸倉清一先生(北海道大学名誉教授)らの研究グループは、キチン誘導体を用いたマクロファージ活性化試験を行ない、30%脱アセチル化キチン、70%脱アセチルキチン、キトサン、カルボキシメチルキチンに強いマクロファージ活性化作用が認められたと報告。特に70%脱アセチル化キチンは著しいマクロファージ活性化能があることを明らかにしている。さらに70%脱アセチル化キチンはモルモットの血中抗体産生、マウスのNK細胞の活性化などの免疫増強活性を報告している。

ヒトは60兆個の細胞から構成され、細胞分裂を繰り返している。この細胞分裂によってDNAがコピーされるわけだ。しかし活性酸素などさまざまな要因によってコピーミス・遺伝子の突然変異が起きる。その突然変異を起こした細胞の中で、死ぬことができなくなり分裂を繰り返し続ける細胞が生まれる。それががん細胞である。体内では毎日3000個から5000個のがん細胞が生まれていると考えられている。通常は、生体防御の最前線で活躍しているマクロファージ、NK細胞などの免疫細胞によって排除されているので、がんが発症することはない。

それではなぜがんが発症するのか。がん細胞は、正常な細胞から発生するので、免疫細胞にとって異物として認識しやすい細菌やウイルスと異なり、認識し難い特徴があること、また加齢によって監視している免疫細胞が正しく働かず見逃してしまう場合があることなどの理由で排除されない場合が起きる。見逃されたがん細胞は分裂を続けて増殖してがんが発症するわけだ。検診によって発見できるまでに増殖する期間は、一般に10年以上かかると考えられている。

さて、キチンやキトサン、キチンオリゴ糖の投与が、腫瘍の増殖を抑制する、マクロファージやNK細胞を活性化するという事実は、in vitroやマウスによる実験などで明らかにされたが、その詳細な機序に関しては、なかなか研究が進展しなかった。

しかし、細胞の表面にあるアンテナ、TRL (Toll様受容体:Toll–like receptor)の研究が進み、2008年にはDa Silvaの研究グループが、キチンがTLR2のリガンド(機能タンパク質に特異的に結合する物質)であると報告。マウスのマクロファージが持つTLR2にキチンが結び付くと、インターロイキンなどの防御因子が産生されることを明らかにしたのである。

キチン・キトサンシンポジウムでは、毎年キチンオリゴ糖の服用でヒトのがんを寛解に導く臨床効果について韓医師・医学博士が報告されている。また今年度の同シンポジウムでは鳥取大学の研究グループが、マウス結腸癌細胞を移植したマウスを用いてキチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖の経口投与による実験で抗腫瘍効果を示すことを明らかにしている。

 

【つづく】

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