2014.12.02(火)

ふかせひろしのキトサン徒然草~その9~完結

健康食品、特定保健用食品、化粧品、繊維、医療用品、農業資材
幅広く活用が広がるキチン・キトサンのファミリー

 

フランスの化学者であるアンリ・ブラコノー(Henri Braconnot)が1811年、キチンを発見して以来200有余年が経った。  キチンはカニ、エビ、昆虫、茸など多くの生物に含まれている天然の物質で、地球上で、年間1000億トンが合成されていると推測されている。セルロースと良く似ている高分子多糖類だ。セルロースは酸素、水素、炭素で構成されているが、キチンは、これらに加えてさらに窒素が含まれていることだ。キチンは酸やアルカリなどの一般的な溶剤によって溶かすことができない。この特徴が、長い間、産業に役立てるための障害になっていた。

キトサンはキチンを脱アセチル化したもので、キチンのようなアセチル基ではなくアミノ基をもっているのが特徴である。キチン・キトサンが工業的に製造されるようになったのは1971年のこと。日本水産の子会社によって世界に先駆けて量産化されるようになった。当初は主に凝集剤として水処理のための活用がメインだった。以降、キチン・キトサンの基礎研究、応用研究が進展し、研究分野は工学、理学、化学、生化学、農学、薬学、医学、繊維さらには生物資源、生命環境、化学生命工学など分野は大きく広がっている。

生産においても、その技術や品質、生産量など世界をリードしている。国内でキトサンを製造している企業の任意団体に『キトサン工業会』があり、片倉チッカリン、キミカ、甲陽ケミカル、大日精化工業、日本化薬フードテクノ、日本水産、北海道曹達、焼津水産化学工業、ヤヱガキ醗酵技研の9社が参加している。  一般に『キチン・キトサン』と呼ばれるが、そこではN–アセチルグルコサミン、グルコサミン、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、キチン、キトサンなどがファミリーを形成している。  近年ではキチンナノファイバーや低分子キトサンなども注目されている。

通常、消費者の目に触れるキチン・キトサンの活用例は、特定保健用食品、健康食品、化粧品、繊維、農業資材などが上げられる。  化粧品では保湿剤、皮膚コンディショニング剤、皮膜形成剤などとしてカルボキシメチルキチン、カルボキシメチルキトサンサクシナミド、ヒドロキシプロピル、アセチルグルコサミンなどが配合されている。化粧水、乳液、クリームなどがある。

特定保健用食品では『コレステロールが高めの方』に向けて各種の商品が出ている。健康食品では、免疫のバランスを整える、脂肪の吸収を抑えるなどの効果を期待してキチン・キトサン、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖が活用され、カプセル、ドリンク、打錠などのタイプで販売されている。グルコサミンやN–アセチルグルコサミンが変形性膝関節症の痛みの軽減、症状の改善を目的にした商品が市場を形成している。

医療分野では創傷被覆剤、手術用糸などがある。動物の創傷治癒促進にも用いられている。  繊維では抗菌・防臭などの働きが期待されて、キチンとセルロースを癒合したものやキトサンを繊維内部に練り込んだものをはじめ、各メーカーが開発し衣類が販売されている。  農業・園芸分野では、抗菌剤、活性剤、土壌改良剤などがある。

 

【完】

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