2021.06.03(木)

地球環境に優しいハラール的、健康美生活 第11話

 2021年4月18日。皆さんに向けて、このコラムを書いています。

 今年のラマダンは4月13日から始まっており、現在はラマダン真っ最中です。今現在世界中の約2割に相当する人々がラマダンに取り組み、断食をしています。

 

 イスラム暦の9月に行われるのですが、ラマダンの期間は太陽暦のイスラム暦(ヒジュラ暦)に基づいている為ラマダンの日程は毎年変わります。イスラム教徒の皆さんにとって当たり前のことですが、イスラム教を身近に感じることが少ない日本の方々にはあまり知られていません。イスラム暦9月だから漠然と秋頃にやっていると思っている人も少なくありません。

 

 ラマダンの期間は約一ヶ月であり、その間は日の出から日没まで飲食禁止です。そのかわり、夜に多くの人たちが集って飲食をともにするのが通例ですが、今年はコロナの関係で集団での飲食は勿論、モスクでの礼拝も制限(国によっては禁止)されています。世界中であらゆる行事が制限または中止に追い込まれている以上、致し方無いと頭でわかってはいても、やはり物足りなさを感じてしまう人が沢山いることでしょう。

 

 イスラム教では1日5回(夜明け、昼、午後、日没、夜)の礼拝が義務付けられています。礼拝はイスラム教の中でも特に重要とされているもので、手順もしっかりと決められており、形式をなぞらえるだけでなく、畏敬の念を持って真剣に行うことが何よりも大切とされています。

 

 このように書くと、どうして1日に5回もやるんだろう?仕事や食事の時間を割いてでもやる必要があるのだろうか?と思われる方もいるかもしれません。事実、1日の礼拝に割く時間は1~2時間と言われています。それだけ時間があったらもっといろんな事ができるのに・・・。年間だったら?生涯にどれくらいの時間を?考えれば考えるほど、それをロス(損失)と感じるかもしれません。でも果たしてそうなんでしょうか?

 

 礼拝の際には神への感謝や賛美を唱えます。そして、その行為を流れる川で浄化されているようなものだと捉え、礼拝のたびに魂や罪が浄化されていると考えられています。

 

 もし皆さんが1日に5回、ご自身が尊敬している人や信頼している人から、(罪を)許され、(日頃の行いを)肯定され、(皆さんのことを)承認されるとしたらどうでしょうか?それだけで、生きている意義、そして自分自身の存在感や存在価値が増していくと思いませんか?

 

 事実、2021年3月に発表された世界幸福度ランキングでは、日本が56位なのに対し、イスラム教の聖地と言われるエルサレムのあるイスラエルは12位です。幸せの定義は人それぞれであり、必ずしもこのランキングが全てではありませんが、人生において幸福感を感じながら生きることの大切さを否定する人は、少ないでしょう。つまり、経済活動の観点からみたら損失だと感じたとしても、幸福感を感じることができる行為としてみたら、礼拝そのものはとても意義のある行為だと言えるのではないでしょうか?

 

 礼拝とは趣が異なりますが、瞑想、とりわけマインドフルネスが近年注目されています。礼拝が神様への感謝や賛美を唱えるのに対し、瞑想はむしろ脳内を空っぽにして思考を停止させます。その状態の中で頭の中に浮かんでくる様々な感情をあるがままに受け入れ、承認します。結果として、集中力の向上やリラックス効果を得られるというものです。

 

 神様への感謝を通して結果として自己肯定感が高まり幸福感が享受できる礼拝と、自分自身との対話によって自己肯定感を高める瞑想。思考もプロセスも違いますが、幸福感を感じられることは、それだけで尊く素晴らしいと思います。

 

日本においては礼拝には縁がない人が多いかもしれませんが、たまにはリラックスしてご自身の内なる声に耳を傾けてみるのはいかがでしょうか?とはいえ、くれぐれもリラックスし過ぎて、ついウトウトと・・・なんてことにならないようにご注意くださいね。

 

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