アーユルヴェーダはサンスクリット語で、日本語に訳すと生命の哲学となり、健康に生きていくための知恵の宝庫であり、医学のルーツとお伝えしてきました。
今もなお研鑽されているアーユルヴェーダの古典書から現代でも通用する様々なことが分かります。
その中で、有能な医者と無能な医者による効能と弊害が記されています。
なかなか厳しいことですが、私たちも医師に診ていただくときの指標となるでしょう。
まず、有能な医者の定義が記されています。
治療に優れ、知能と学識に優れ、実践に意欲的である。
そんな医師の治療を受けると、幸福を享受するとされています。
逆に無能な医師の治療を受けると、過剰な処方や不十分な処方によって起こる副作用により苦痛にさらされると記されていて、できることなら良い医師に診て頂きたいと思わされます。
適切な治療を受けると、脱力感、身体の軽さ、倦怠感や病気の軽減、胸がすっきりし、顔色も良くなります。
空腹感や喉の渇きも感じ、正常な性的欲求を感じ、知覚、感覚機能や思考機能が研ぎ澄まされます。体温や消化力、新陳代謝も正常とります。
逆に治療が不十分であった時は唾を吐きたくなったり、胸がすっきりせず、腹部膨満感、食欲不振、味覚消失、嘔吐、脱力感の欠如、身体が軽く感じない、足に力が入らない、眠気、硬直、風邪、鼻炎、などの症状が現れやすくなります。
また、過剰な治療を受けると、便、胆汁、粘液、腸内ガスが順番に排泄されたのち、脂肪や肉汁のような、あるいは粘液や胆汁を含まない液体や、暗赤色の血液が大量に排泄されます。
また喉の渇きや、ヴァータ性の苦痛、失神におそわれるなどの症状が見られたりします。
ここまで詳しく書かれていて、無能な医師に診てもらうのに危険を感じてしまいますが、患者としても、医師の指示に従い、むやみに薬を所望することのないように心掛けなければ、自分から過剰な治療を誘引しかねないとも言えるのではないでしょうか。
今ではセカンドオピニオンも必要であると考えられるようになりました。
患者の立場から、有能か無能かなど、医師をジャッジするようなことは実際には難しいと思います。
ほとんどの場合、有能な方が医師になっているとも思われますが、治療が自分の身体に合わないこともあるでしょう。
ここに記された症状を見て、自分に合っているのか、もしくは合わないのかを判断して、セカンドオピニオンを受けられる目安となるのではと考えます。
今回はアーユルヴェーダの古典書、「チャラカサンヒター」から、医師についての表記をご紹介させていただきましたが、現代にも通用するアドバイスではないでしょうか。
(チャラカサンヒター・日本アーユルヴェーダ学会翻訳より引用)
これからも、アーユルヴェーダライフを楽しんでいきましょう。