これまで、インド神話の最高神とも言われる3大神のうち、「ブラフマー」「ヴィシュヌ」「シヴァ」についてご紹介してきました。
インド神話は神々の圧倒的な力と合わせて、人間的な愛についても語り継がれてきました。3大神の神々にも妻が存在し、その妻も夫と共に神様としてのストーリーを持っています。
今回は「ブラフマー」の妻、「サラスヴァティ」について紹介しましょう。
宇宙の創造神ブラフマーが最初、娘として創造した「サラスヴァティ」が、あまりにも美しく、娘ではなく妻にしようとしたところ、サラスヴァティがその求愛を拒んで逃げ出し、その姿を追いかけるために、ブラフマーが東西南北を見渡せるように顔が4つになったと前回紹介しました。
その熱烈な求愛に、サラスヴァティは根負けして、妻となりました。妻となってからは、仲睦まじい夫婦となり、夫婦の間には、人間の始祖とも言われる「マヌ」を産みだしたと伝えられています。また、誌や韻文の神「カーヴィヤ・プルシャ」という息子も誕生させました。
その息子により新しい聖典を誕生させることができるようになり、サラスヴァティは息子を「私以上に、言葉の神である貴方は素晴らしい!」と称えたとされています。
また、サラスヴァティは川の神とも伝えられていて、サラゥヴァティーという美しい川が土地を浄化し、恵を授ける力を神格化して、女神となったとも言われ、川を崇拝する信仰は後に、ガンジス川を信仰する流れと繋がっています。現在ではその川も所在は不明となりましたが、女神の中でも最高の女神としてサラスヴァティの名は残り、今も愛され続けています。
また、サラスヴァティは芸術と学問の神様として信仰を集めています。日本では、七福神の中の紅一点、「弁財天」として呼ばれ、人気の神様です。川の神である弁財天を祀る神社は川の近くに建立されることが多く、川で浄化する意味を込めて、「銭洗い弁天」という信仰も存在します。
美しい姿をしたサラスヴァティは白鳥か孔雀に乗り、手にはヴィーナという琵琶(楽器)を持ち、ヴェーダの経典と数珠を持っています。
芸術と学問を究めたい方にはきっと力になってくれる女神でしょう。
今回のお話しはいかがでしたでしょうか。これからもアーユルヴェーダの古典書に書かれたおとぎ話のような神話をご紹介していきます。
一緒にアーユルヴェーダを楽しんでいきましょう。