2023.06.30(金)

アスラ(阿修羅)とアーユルヴェーダ

前回は医学の神様として愛された、イケメンの双子の神様、7 アシュヴィン双神様をご紹介いたしましたが、今回は日本でもなじみの、「アスラ(阿修羅)」についてご紹介いたします。
 

 

私は、奈良に住んでいるので、奈良の有名なお寺、興福寺に祀られていて、教科書にもよく掲載されている、美しい「阿修羅像」をイメージしますが、実際には、インド神話では、「アスラ」と発音し、魔族として描かれています。
 

 

もともとは、神様だったのですが、神様たちが不老不死のお薬「アムリタ」を作っている時に、悪い神様にそそのかされて、アムリタを作るためのお供えを盗んでしまいました。そこから、神様から一転、魔族へと身を落としてしまいます。神様も、意地悪なことをするものです。インド神話の神様を「インドラ」と称し、そのインドラに敵対するのを「アスラ」と称していました。
 

 

もともとは神様でもあるので、アスラの話は、良い神様と伝えられるものから、悪い神様と伝えられるものまで、様々あります。
 

 

インド神話では戦いを好む魔族となってしまいましたが、ゾロアスター教では、最高神の「アフラ・マズタ」が「アスラ」と同じではないか?いやいや、そうではない?など、アスラについては諸説ある、不思議な神様です。仏教の中に登場するようになっては、仏様を鬼から守る、守護神へと格上げされます。アスラはまるで、人間のように、会社の方針などで、役職がころころ変わるサラリーマンのような悲哀を感じます。
 

 

奈良の興福寺の美術館に展示されている阿修羅像は、そのような身分の格下げ、格上げを意図もしない、優雅な笑みを浮かべた美青年の姿をしています。
 

 

また、日本語の中でも、激しい戦いの場を「修羅場」と言いますが、その語源も「アスラ」からとされ、戦いの神様である一面が伺えます。
 

 

アスラ自身、数々の修羅場を潜り抜け、今では、怖い表情をした戦いの神様であったり、柔和な神様であったり、色々な姿を見せてくれる表情豊かな神様として現代では祀られています。また戦闘ゲームのキャラクターとしてもよく、登場しています。
 

 

インド神話には、現在の人間模様のような楽しいお話が沢山あります。これからも、一緒にアーユルヴェーダを楽しんでいきましょう。
TOPに戻る