2017.01.18(水)

機能性表示食品制度             規制改革推進会議委員から消費者庁への厳しい指摘が相次ぐ!                ~現状の運営は行政手続法抵触の恐れも~

規制改革推進会議  (内閣府ホームページより)

 

2016年12月14日に行われた規制改革推進会議・第6回 医療・介護・保育ワーキング・グループの議事録が公開された。この第6回 医療・介護・保育ワーキング・グループでは機能性表示食品制度の現状の運用状況等を確認する目的で日本通信販売協会、日本健康・栄養食品協会と消費者庁のヒアリングが行われた。

 

「規制改革推進会議」は2016年7月末で設置期限が切れた規制改革会議の後継組織として設置された。新議長には政策研究大学院大教授の大田弘子氏が就任。大田弘子氏以外にもフューチャー会長兼社長の金丸恭文氏、大阪大学大学院教授の森下竜一氏など規制改革会議からの留任6名を含む14名の委員で構成されている。規制改革会議から規制改革推進会議への流れは継続性を維持し、PDCAサイクルを重視・実践することは当初から公言されており、会議から答申、閣議決定された事項は確実に実行されているかの検証を定期的に行っていくことも重要な使命である。今回のヒアリングはその一環として行われたものだ。

 

まず、行政法を専門とする一橋大大学院教授の高橋滋委員は「明らかに実体要件をやっている。府令のガイドラインに合っているかどうかを見るということは、ガイドラインに関する実体的な要件適合性も見ているということ。必要な添付書類が出ているとか、必要なデータが出ているかというだけの形式要件であれば、全部の要件を見るというような話にはならない」と、現行の制度運用は行政法上問題があると指摘し、届出制として仕切るのであれば、事前で全部厳しく締め上げて一切市場に出さないというのではなく、事後的な勧告や公表、さらには是正措置や回収命令等、必要な時間をとって丁寧に見て、問題があるものは市場から排除していく事後的な措置を採るという仕組みを考えるべきで、化学物質の危険性評価はそのような方法をとっているとアドバイスした。

 

インテル日本法人社長の江田麻季子座長代理からは「企業を経営する立場から、日数が見えないところはかなり厳しい。マーケットに出していくために企業は準備していくわけでこれでは企業の経営はできない。また、中身が見えないという声があるが、データベースやガイドラインが伝わっていないのではないか。このシステム(制度)は自己責任で消費者が購入するものなので、そんなに全てデータをひも付け、評価までいかなくてもよいのではないか」とグローバル企業目線からの率直な意見も出た。

 

さらに土屋専門委員は「届出資料の差戻しの際に、「不備事項の指摘内容がわかりにくい」「再提出後にも新たな指摘を受ける」うんぬんとあるが、これはいじめ体質そのもの。指摘しておいて内容が分かりにくいというのは指摘に当たらない。アメリカの英文の学会の医学雑誌の査読は通常は2回、多くとも3回までで終わる。たくさんやって親切のように見えるがいじめである。これを避けるには回答をちゃんと与えるということ」と厳しい意見を述べた一方、企業が費用を負担したうえでの業界でのスクリーニング等(議事録では第三者認証という言葉)の仕組み作りを推奨した。

 

大阪大学大学院教授の森下竜一氏は「現在の体制のままやるということはあり得ない。実態として届出制になっていないし、生鮮食品に関しては、特に地方の農協等が期待している中で(届け出が)20件しか出ないというのはもう制度が破綻していると考えてもいい。考え方を一から改めてもらって、いかに生鮮食品の機能性制度を活用して国民の食育を図るか、本来の目的に立ち返っていただきたい。ビタミン、ミネラルに関しても、栄養機能食品制度で再考ということだが、抜本的な議論も含め、いつまでにやるかということを明確にして早急に行っていただきたい。届け出等で行政コストが増えるというのは言語道断。もともとの趣旨に戻って制度を抜本的なところで考え直していただきたい」と厳しい意見を述べた。

 

なお、医療・介護・保育ワーキング・グループでは再度、消費者庁のヒアリングを行う予定で、その結果いかんでは、今後の機能性表示食品制度の運用に大きな軌道修正が出る可能性もある。

 

 

 

 

 

規制改革推進会議委員

 

〇安念潤司・中央大大学院教授

飯田泰之・明治大准教授

江田麻季子・インテル日本法人社長

〇大田弘子・政策研究大学院大教授(座長)

〇金丸恭文・フューチャー会長兼社長(座長代理)

古森重隆・富士フイルムホールディングス会長兼最高経営責任者(CEO)

高橋滋・一橋大大学院教授

野坂美穂・中央大大学院助教

〇長谷川幸洋・東京新聞論説副主幹

〇林いづみ・弁護士

原英史・政策工房社長

〇森下竜一・大阪大大学院教授

八代尚宏・昭和女子大特命教授

吉田晴乃・BTジャパン社長

 

(〇は規制改革会議からの留任)

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