2017.02.05(日)

健康経営による業績向上と企業価値アップ   「健康経営銘柄」に加え、新たに「健康経営優良法人」を創設!                ~経済産業省~

経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課 江崎禎英課長

日本食品保健指導士会は2月4日、都内で平成28年度第3回研修会を開催し、「生涯現役社会の構築~健康経営の意義と役割~」と題した講演で、経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課の江崎禎英課長をスピーカーとして迎えた。

 

講演の中で江崎課長は「現時点での日本の人口構造は超高齢社会と言われ、スーパーエイジングソサエティから遂にウルトラエイジングソサエティに移行しているが、これはあくまでも全人口に対しての高齢者率が上がっているだけで、高齢者の人口は増えておらず逆に減少している。要は、若い人の人口がそれ以上に激減していることが大きな問題である」と述べたうえで、「1960年~1980年の高齢者比率をもとに設計された国民皆保険制度は現状の高齢者比率では当然破たんするし、介護保険制度はそもそも設計ミスで当然見直す必要はある」と述べた。

 

さらに「日本の長い歴史の中で冷静に考えると、1960年~1980年頃の人口構成の方が異常で、今の高齢者率の方が標準型と考える。現状の医療費の1/3は人生最期の3日間で使われている。医療費や介護費のことを考えるにはまずは「誰の為の医療」「誰のための介護」であるかをもう一度立ち止まってしっかりと考える必要がある。さらに医療費の1/3は生活習慣病関連で使われており、ここで医療や医薬品以外の分野が活躍できる可能性が高い。糖尿病も含めた生活習慣病予防では4兆円の市場創出、1兆円の医療費削減効果が可能」と語った。「そのためには健康な人を対象とした1次予防よりも、境界線にいる人や軽症者を対象とした2次予防、3次予防に注力することが必要で、特に特定健康診査の未受信数の2790万人には472万人の潜在的保健指導対象者が見込まれ、ここに網をかけていくことが重要」との見解を示した。

 

一方で、経済産業省が推進する「健康経営銘柄」が予想以上の注目を集めている現状を解説し、アメリカでは健康経営に対する投資1ドルに対するリターンが3ドルになるとの調査結果もあるとしたうえで、健康経営に取り組みに係る顕彰制度については、健康経営銘柄に加えて、健康経営優良法人という新たなカテゴリーを創設し、健康経営に取り組む大企業に対しては「ホワイト500」として500法人、中小企業には別途10000法人を「健康経営優良法人」として認定する方向性を示した。この経済産業省の健康経営推進の動きに呼応して、地方自治体でもインセンティブ措置が拡大、自治体による表彰制度や地銀・信金等による低利融資などの動きが広がりを見せており、中小企業のみならず大企業でも、人材採用の面での影響も出だしているとして、さらに地域全体が協力して、高齢者が最期まで自分らしく生活できる仕組みを目指して、2025年の地域包括ケア実現に向けた経済産業省の取り組みを説明した。

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