2月21日に健康経営銘柄2017の発表会が都内で開催され、2017年の選定企業24社が発表になった。この「健康経営銘柄」は経済産業省が日本再興戦略に位置づけられている「国民の健康寿命の延伸」に向けた施策の一つとして実施するもの。平成26年度から、東京証券取引所と共同で選定し、長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による「健康経営」の取組を促進することを目指している。従業員等の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる企業を、原則1業種1社限定で選定する。
選定にあたっては、経済産業省が実施した国内全上場会社(3,640社)に対して行った「平成28年度健康経営度調査(従業員の健康に関する取り組みについての調査)」の回答結果を、(1)「経営理念・方針」 (2)「組織・体制」 (3)「制度・施策実行」 (4)「評価・改善」 (5)「法令遵守・リスクマネジメント」の5つのフレームワークから評価し、最終選定基準は①「健康経営度調査」の総合評価の順位が上位20%以内であること②過去3年間のROEの平均値が8%以上又は業種中央値以上も条件となる。
発表に先立ち主催者として経済産業大臣政務官の中川俊直氏は「選定に選ばれた企業の皆様には心よりお喜びを申し上げます。日本健康会議のご尽力によって日本健康都市連合の発足式が約80の市町村の参加の元、執り行われました。そして本日の健康経営銘柄2017の発表と続き、こういった公の場の連携と民間の連携が車の両輪となって、健康長寿に向けて日本がいかに高齢者社会を乗り切っていくかを発信できればと思います。経済産業省としましても働き方の改革、最先端の人材育成、生産性の高い企業への労働移動の3つをキーワードとしておりますがこれらの前提となるのが従業員の健康になります。健康経営が優良な就職先、投資先、取引先として評価を受けるという好循環を生み出すようさらなる検討を重ね、さらにこの機運を中小企業や医療法人にも拡大させるよう今年から初めての試みとして健康経営優良法人認定制度もスタートさせこちらの普及拡大に努めてまいります」と挨拶した。
続いて東京証券所取引所の宮原幸一郎代表取締役社長は「政府が推進する働き方改革も相まって健康経営銘柄はより一層注目を集めてきています。今回予定した説明会が早々と満員になったため、追加の説明会を開催したのですがこちらもすぐに満員になってしまい、上場会社様の健康経営銘柄に関する関心の高さを痛感しております。最近は就職する学生さんの判断材料の大きな基準となっているようです。健康経営銘柄に指定されると企業イメージの向上につながり、従業員の健康維持だけでなく、新たな人材確保というメリットも享受できます。さらに投資の観点からも重要なファクターとして認識されつつあります。東証がお勧めするテーマ銘柄の1つとしても、なでしこ銘柄などともにこの健康経営銘柄もご紹介させていただいております。健康経営銘柄と株価や収益との実証研究も徐々に進め始めております」と挨拶した。
来賓挨拶として厚生労働省保健局長鈴木康裕氏は「従業員の健康を最大の財産ととらえる。対処療法型の健康管理から攻めの健康投資に注目が集まっていると考えます。生活習慣病は生活習慣を変える事でしか対応できません。働き方の改革には、従業員が健康で働きやすい環境をいかに整えるか、多様な働きからにどこまで柔軟に対応できるか、健康増進や活力向上のために新しい選択肢をどのように提供できるか、の3つが重要と考えております。データヘルス事業が来年から本格的に実施を迎えます。厚生労働大臣を本部長とするデータヘルス改革推進本部においてビックデータのプラットフォームの基盤構築に着手しております。ICTによるデータ基盤の構築、外部の民間事業者の活用など、健康事業の質と効率性の向上を目指してまいります」と述べた。
その後、スポーツコメンテーターでシンクロナイズドスイミング元日本代表の小谷美可子さんをプレゼンターとして選定企業24社の発表と表彰式が行われた。