2017.02.28(火)

食品の機能性表示制度の国際的なハーモナイゼーションと機能性食品の輸出拡大に向けて! 健康食品輸出振興懇話会(仮称)キックオフセミナー ~日本抗加齢協会~

パネルディスカッションの模様
食料産業局輸出促進課 来栖輝光課長補佐
消費者庁食品表示企画課長 赤﨑暢彦課長

 

 2月27日、特定非営利活動法人日本抗加齢協会主催で健康食品輸出振興懇話会(仮称)キックオフセミナーが行われた。開会に先立ち、大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学教授で日本抗加齢協会副会長の森下竜一氏は「日本において大きな産業に成長した健康食品ですが、海外輸出が少ないのが現状です。農業の6次産業課の議論も活発化し、機能性表示食品制度という新しい制度が始まった中で、日本の品質の良く安全性の高い機能性食品を海外に輸出して、経済の活性化につなげるにはどうしたらいいのか、そのために必要な方策等を勉強していこうという主旨でこの懇話会を日本抗加齢協会の中に設置させていただき、今後様々な検討ができればと考えます。海外の制度を勉強しながら認証等のハーモナイゼーションも視野に、また場合によっては特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品が海外で自動的に承認できるような仕組みを考えられないかというところまで踏み込んでいければと考えております。医薬品の世界ではPMDAが機能しており、インドネシアやメキシコでは日本で承認された医薬品は自動的に承認されます。海外での相互認証の制度はアベノミクスの中での「究極の障害排除」にもなり、機能性の食品も同じようなことができないかということを勉強していければと思います」と挨拶した。

 

 第一部では農林水産省の食料産業局輸出促進課課長補佐の来栖輝光氏が「農林水産物・食品の輸出力強化について」と出して講演。農業の6次産業化に向けた農林水産省の様々な取り組みを紹介した後、健康食品業界とのコラボレーションが可能な制度、また食品の輸出促進に伴う現制度を解説した。続いて経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課課長の江崎禎英氏は経済産業省が進める健康寿命延伸に向けた施策と考え方を紹介し、食品の機能性に関する海外展開のヒントをアドバイスした。

 

 第二部では「機能性食品の海外展開を目指して」と題して、森下竜一教授と株式会社TTC山本哲郎代表取締役社長をモデラ―として、消費者庁赤﨑暢彦食品表示企画課長、味の素株式会社木村毅取締役常務執行役員、ロート製薬株式会社ジュネジャ・レカ ・ラジュ取締役副社長、森下仁丹株式会社駒村純一代表取締役社長、株式会社ファンケル宮島和美代表取締役社長執行役員の7人のパネラーを迎えてのパネルディスカッションが行われた。この中で消費者庁の赤崎課長は機能性表示食品への取り組みとして海外に持って行くためにも、まずは足元の国内での制度の定着が必要との考えをのべ、駒村氏は豊富な海外経験の中で各国のレギュレーションがバラバラで相手国の制度に合わせることがまずは大きなハードルになるとの見解を示した。また、ジュネジャ氏は機能性食品だけでなく日本の健康長寿の源である生活習慣なども一緒に輸出することを考えないと片手落ちになる可能性があると、積極的に海外展開をする企業としての意見を述べた。また、モデレーターの森下教授はこの機能性食品の海外展開を面倒見てくれる省庁がどこなのかがまだ明確でなく、ここが心配であると述べた。

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