2017.03.11(土)

栄養障害の二重付加という新しい課題!    機能性食品の利用には専門家の介在が不可欠! ~神奈川県立保健福祉大学学長・日本栄養士会中村丁次名誉会長~

神奈川県立保健福祉大学学長 日本栄養士会中村丁次名誉会長
菊乃井 堀知佐子常務取締役
研修会の開始前に東日本大震災の被害者の皆様に黙祷がささげられた

 

 3月11日(土)、平成28年度日本食品保健指導士会関東支部研修会が横浜ランドマークタワーで開催された。冒頭6年前の東日本大震災の被害者の方々に向けて黙祷がささげられた。

 

 まずは、京都菊乃井の堀知佐子常務取締役が「美味しく、楽しく食べて健康、そして美しく~和食からひもとく~」と題した講演で登壇。食の機能性を料理という面から切り込み、食材が持つ様々な機能性を料理の面から有効利用できる方法を伝授、特にファイトケミカルに関しての様々な調理上での留意点、また日本独特の発酵食材を有効に使う料理法を解説した。さらに、食卓における「楽しい」「嬉しい」といった料理の心理的な利点に触れ、NK細胞の活性化には笑いが重要で、神経ペプチドが活性化され、免疫力を高めると解説した。さらに日本料理と和食の区別に触れ、和食は日常日本人が食卓に並べているもと定義づけ、カレーやハンバーグなども範疇に入るとした一方で、日本料理は懐石料理など日本伝来の食事との見解を示した。

 

 続いて登壇した神奈川県立保健福祉大学学長で日本栄養士会名誉会長の中村丁次氏は「食と食育、栄養と機能性~人類の健康と幸福に向けて「食」ができること~」との演題で講演。健康寿命延伸の定義や方向性を解説した後で、生活習慣病が食習慣と運動習慣によって、予防の段階では医薬品の2倍の効果があるというエビデンスを紹介。また、妊娠中の体内環境が人の一生の健康状態を左右するとして、特に昨今日本で傾向のある若年層の痩せ問題に警鐘を鳴らした。さらに、昨今の栄養問題は複雑化しており、過剰栄養と栄養不足の問題が同じポジションに同居するいわゆる「栄養障害の二重付加」という問題に触れ、栄養問題にはリスクコミュニケーションが不可欠としたうえで、機能性食品の有効活用には管理栄養士やアドバイザリースタッフなどの専門家の介在が不可欠との見解を示した。

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