2019.07.08(月)

まだまだ拡大要素ある水素市場  キーポイントは認知度アップと販売戦略

グラフ① 「水素水や水素ガスや水素サプリメント」に健康効果を期待しますか? 
グラフ② 設問1ではいと答えた人に現在、水素関連グッズを使用しているか?
画像提供/ドクターズ・マン

水素が注目され数年が経過する。その要因は、ここ数年の間に研究論文も増え、動物試験のみならず、疲労と睡眠の質の改善、筋肉疲労、脂質・糖質代謝の改善、生活習慣病の改善などの臨床試験も発表され、「水素」「水素水」の効果に関する科学的根拠(エビデンス)も増えて来たことや、市場では水素水、水素ガス、水素サプリメント等の製品の流通も多く見られ、展示会やイベント会場でも水素関連製品の出展企業が目立っていたことで一般ユーザーにも浸透していったからと推察されるが、ここ2年程の動向をみてみると、展示会での出展企業の減少や、新たな水素関連商材の発表が減少傾向だ。

 その最大の理由として考えられるのが2016年12月に国民生活センターから、「水素水」「水素水生成器」の商品テストの結果が発表されたことだ。この発表を「水素水自体は全く効果がなく、かつ、全ての製品が水素を含んでいない」というような一部誤った報道により一般ユーザーに対してネガティブな情報として伝わってしまい、結果として販売数の激減につながり、水素業界が萎縮してしまった。

 では本当にそのような結果を国民生活センターは報告したのだろうか?

 答えはNOである。国民生活センターの報告書でも「水素水には公的な定義等はなく、容存水素濃度は様々です」と謳っている。水素水の定義がないので、そもそも水素水が本物であるか否かの判断はできない。もちろん容存水素(○○mg/L)と表示し、実際にはその濃度の水素は溶け込んでいなかったのであれば、食品表示法や景品表示法の違反とされる。しかし前述したように水素水の公的定義はなく、国民生活センターの商品テストも、どれくらいの量が入っているかを試験して公表したに過ぎない。もう一方で、国民生活センターの報告書では、水素水と呼ばれる製品の中で、科学的根拠のない医薬品的な効能効果を謳っている物があり、それらは景品表示法や健康増進法の違反になるものがあるのではないかと提言している。実際に2017年3月には水素関連製品が科学的根拠のない医薬品的な効能効果を謳っているとして優良誤認であると見なされ、景品表示法違反として措置命令が出されている。

 これらの事からも水素水そのものの効果がないとかを論じるべき段階でもなく、むしろ製造、販売するメーカー側がコンプライアンスを遵守した販売方法を行っていく事が、今後の水素市場の活性化を図る上で、重要なことだといえよう。

認知度低いも積極的啓蒙で市場拡大のチャンス!

 それでは一体、一般消費者は水素製品に関してどのように感じているのであろうか? 国センの発表後の2017年4月1日〜7日までの1週間に渡って行った水素製品に関するインターネットアンケート調査結果を紹介する。調査は健康・美容のマーケティングやコンサルティングを行うぐりーん・ぴーす社(本社東京都)が行い1104名(男性487名、女性617名)から回答を得た。

設問1では「水素水や水素ガスや水素サプリメント」に健康効果を期待しますか? を尋ねた結果がグラフ①だ。

設問1では75%の消費者が水素製品に健康効果を期待していないという数字だ。しかしこれは水素市場の歴史がまだ浅く、一般認知度が、売り手側が考えているよりも低いことも考えられる。つまり、この期待していない75%の消費者に、水素の良さを訴求していくことが出来れば、まだまだ伸びしろは十分にあると言えよう。

次に、設問1ではいと答えた人に現在、水素関連グッズを使用しているか? に対して示したのがグラフ②だ。  

さらに設問2では、水素に健康効果を期待しているにも関わらず、半数が水素製品を使用していないという結果だ。これについても、この半数に製品を使ってもらえるかによって市場は伸びる可能性を秘めている。

 

このアンケート結果から見えてくるものは、

  • 水素製品に関する一般認知度が売り手側が思っている以上にまだまだ低い
  • 認知度を上げれば市場拡大の要素は十分に期待できる
  • いかに製品を利用してもらうか

など、市場規模拡大の可能性は大いにあると言える。

スポーツクラブでの導入実績でもわかる水素市場への期待値

 

スポーツクラブでは水素水サーバーが欠かせないアイテムとなっている。水素水オプションとして会員がオプション会費を払って利用している。入会特典として当初3か月間、お試しという形で無料オプションにしたりして水素水の普及にも注力している。今でこそ多くのスポーツクラブで導入されているが5、6年前はまだ一部のクラブの数店舗しか導入されていなかった。しかし、科学的根拠(エビデンス)の報告等もされるようになり、大手スポーツクラブが続々と水素水サーバーを導入し、クラブ側にとっての収益源の1つとしても貢献度が高くなっているようだ。

 このように消費者アンケートやスポーツクラブでの水素水サーバー導入事例からも推察できるように、水素製品に関しての一般認知度はまだまだ少なく、認知度アップを図れば、市場拡大の要素は十分に期待できる。また、科学的根拠(エビデンス)の数も少しずつ増加している。水素水に関して言えば大手スポーツクラブなどが導入している実績もあり、総合的にみてもまだまだ伸びていける要素はあるといえよう。

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