総合マーケティングビジネスの富士経済がヘアケア・ヘアメイクに関する市場調査を実施しその結果概要が公表された。それによると2017年は業務用のヘアカラーが欧米人風の高彩度な髪色が演出できる黒髪用ヘアカラーのヒットなどにより大幅に伸長し、その前後で使用する処理剤やメニュートリートメントの需要が増加した。一方、家庭用はヘアカラー需要が業務用にシフトしたことで縮小したことに加え、若年層においてナチュラルなヘアスタイルがトレンドとなったことにより、パーマネントウェーブ剤やヘアスタイリング剤の需要が低迷したことからマイナスとなったものの、メンズスカルプケアが通販ルートを中心に伸長し、メンズスタイリング剤においてもヘアスタイルのトレンドの変化を受け市場が伸長したこともあり、全体での市場は前年比0.6%増となった。2018年も引き続き業務用が好調だったほか、家庭用においてノンシリコンシャンプーとインバストリートメントを基本ステップとしたパーソナルケア色の強いヘアケアブランドの投入が相次いだことや、ヘアカラーの色褪せを防ぐ商品や、天然由来のメラニン色素による白髪カバーを訴求した商品など新たなコンセプトの商品が投入されたことで、市場は拡大傾向を示唆している。
ヘアカラー市場は少子高齢化により黒髪用の需要が縮小し、シニア人口の増加と美意識の高まりによる白髪染めニーズが拡大していることから、白髪用ヘアカラーと髪に負担の少ない白髪用ヘアカラートリートメントが市場をけん引しているようだ。また、ヘアサロンのカラー施術の低価格化により、ユーザーの利用機会が増加したため、低迷する家庭用のマイナスを業務用がカバーする形で市場は拡大しつつあるようだ。
ヘアトリートメント市場では、トイレタリーメーカーがノンシリコンシャンプーとインバストリートメントを基本ステップとしたパーソナルケア色の強い新ブランドや新ラインの投入を強化していることや、ヘアアイロンやコテを使用した髪の保護やダメージ修復効果を訴求したアウトバストリートメントの需要が増加傾向だ。業務用においてヘアカラー施術の増加を背景に、前後処理剤やカラーの継続使用によるダメージの蓄積をケアするメニュートリートメントの需要が増加したことで市場は拡大した。このようにヘアケア市場は大幅な市場拡大は見られないものの、総合的には毎年着実に規模が拡大していく市場といえよう。