2020.06.02(火)

新型コロナウイルス収束後を見据えた対策 『新たなビジネスモデルの構築や商品アイテムの進化に期待』

新型コロナウイルスは日本だけでなく世界中に蔓延し、世界経済に大きな打撃を与えている。日本では4月7日に緊急事態宣言が発令されてから自粛を余儀無くされ経済にも大きな影響をもたらしている。特に新型コロナウイルスの発端となった中国とのビジネス関係は、インバウンド需要や中国現地での生産拠点など、日本企業にとっては大きなウエイトを持っていた企業も多い。その中国はすでに規制が緩和され始めて、中国国内の流通は少しずつ戻りつつあるようだ。「中国は宅配などを含めた物流は少しずつ回復しています。ただ海外との取引はできない状態です。弊社も中国へ日本の商品を供給していますが、日本から中国への輸送がほとんど出来ません。一部、可能ではありますが、送料がかなりの金額となり、日時指定もできず、いつ届けられるかがわからないため、現実的には出荷ができない状態です。弊社も5月に化粧品を発売するため1月の国際化粧品展に出展して良い感触を持っていました。4月に中国やベトナムでの展示会に出展を予定していましたがそれも中止となり現在は休業状態です。秋の展示会へ向けて準備をします」(中国系企業)と現状を語ってくれた。都内を中心にスポーツクラブ内でエステティックサロンを展開しているサロンオーナーは「2月にスポーツクラブの会員さんが新型コロナウイルスに罹患されたことがニュースになった直後に、弊社のサロンが入っているスポーツクラブも自粛による休業となりました。弊社も20店舗近くその影響で休業を余儀無くされました。売上は無くなりますが人件費などはありますから頭がいたいです」と悲痛な状況だ。さらに3月〜4月に開催予定だった健康博覧会やビューティーワールドジャパン東京など健康美容業界にとっての大きな展示会が全て中止になったことも大きい。毎回、この展示会で新商品を発表し新規顧客の獲得をしていた企業はその計画も白紙。3日間で1億円規模の新規売上を記録するメーカーオーナーも「展示会は新規獲得の生命線になり、特に東京開催は数多くのお客様が来られるのでかなりの打撃です。見えないウイルスとの戦いなので仕方ないです。秋に備えるしかないです」と心境を語ってくれた。そんな中、あるバイヤーが「最近、除菌液の要望が増えています。今は新型コロナウイルスの予防対策で品薄ですが、要望はこの先に向けたものです。今まで、除菌スプレーや除菌ジェルなどをあまり使っていなかった人たちが、今回の騒動で使用する機会が増えました。今後はこれまで以上に衛生管理の流れが増大すると見ているメーカーもおり、この習慣が今後は定着するとの想定で今から、販売アイテムの一つとして検討している企業も少なくありません。今後は仕事の仕方や生活パターンが変化しますので流通商品にも変化があるはずです。それに向けて各企業さんが検討している動きが出てきています」という。

これから暖かくなる時期はウイルスの感染力も弱まるので比較的感染者数も少なくなるが、10月以降、寒さが増す時期になると再び感染力が高まるという感染症の専門家の意見も散見される。いわゆる日本国内の第2波ということだ。

アビガンやレムデシビルといった治療薬が出てきたことは明るいニュースだが、ワクチン開発まではもうしばらく時間がかかりそうな現状では免疫力をあげることや予防・対策を個人で行うことが重要になる。新型コロナウイルスはわれわれ人間の生活様式や意識を大きく変えたが、健康美容業界にとっても、これまでのビジネスモデルの変革の時期なのかもしれない。健康食品や美容商品、予防対策グッズといったアイテムのほか、美容系サロンの運営方法など、さらなる進化や販路拡大のチャンスとなるのではないだろうか。

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