
総合マーケティングビジネスの富士経済(東京都中央区、 清口正夫社長) は、インバウンド需要の急速な減少により、内需獲得の重要性が再認識されたスキンケアと、パーソナルライズ化・カスタマライズ化の流れが注目されるフレグランスの国内市場を調査し、その結果を公表した。
スキンケア市場では、訪日観光客向けの免税対象に化粧品が加わり、インバウンド需要を獲得したことで、2015年以降、市場は高い伸びが続いた。2019年は中国での新EC法施行に伴うソーシャルバイヤー(代理購入者)の買い控えや、円高・人民元安による高価格帯品の需要減少でインバウンド需要の獲得に苦戦した。一方、内需は医薬部外品のしわ改善化粧品がスポットケアから化粧水、乳液、美容液、モイスチャーへ広がったほか、毛穴・角質ケア意識の高まりから洗顔料やクレンジングに加え、美容液やパックなどを使用したケアが習慣化し堅調に推移している。
インバウンド需要が急速に減少したことで、2019年の市場は2018年比1.0%増と伸びが大きく鈍化したものの、内需が堅調に拡大したことから、あらためて内需獲得の重要性が認識されたようだ。2020年は、新型コロナウイルスの流行によるインバウンド需要の落ち込みに加え、内需も外出機会が減少したことによる買い控えなど、市場へのマイナス要因が多い。しかし、早期のアンチエイジングや美白、毛穴・角質ケアなどスキンケアへの意識の高まりにより、機能性や効果を訴求した高付加価値品の需要が増加し、長期的には堅調な推移が予想される感じだ。
2019年 2018年比 2022年予測 2019年比
1兆2,854億円 101.0 % 1兆2,980億円 101.0 %
フレグランス市場は新たな販売チャネルの開拓がカギを握る
フレグランス市場はルームフレグランスやボディクリーム、ヘアミストなど日常的に香りを楽しむニーズの高まりにより市場は好調のようだ。特に2015年以降は高価格帯のメゾンフレグランス人気や、香りを手軽に楽しめる練り香水がスティックタイプでエントリー需要を獲得し、高い伸びが見られる。2019年は、メゾンフレグランスが店頭露出の増加に加え、香料にこだわった希少性の高い商品の展開により、引き続き好調を維持している。また、各メーカーがエントリー需要獲得を目的に、体験イベントやSNSを活用したプロモーションを積極的に行い、香りだけではなく、ボトルデザインなどブランドの世界観を発信することで、需要の取り込みに成功した商品も多かったことから、市場は2018年比2.6 % 増の432億円となった。
化粧品のパーソナライズ化・カスタマイズ化がフレグランスでも進んでおり、好みの香りをカスタマイズできる商品が発売されるなで、自分に適した香りや自分だけの香りを楽しむ動きが注目されている。また、フレグランスの使用率は依然として低いことから、異業種とのコラボレーションや、スーツ専門店など新たな販売チャネルの開拓によって、フレグランスに触れる機会が増えることで、ユーザーの増加や市場の拡大が進むと予想される。
2019年 2018年比 2022年予測 2019年比
432億円 102.6 % 465億円 107.6 %