2021.01.08(金)

東京都に認知症未来社会創造センターを開設! 〜東京都健康長寿医療センター〜

 11月25日、東京都健康長寿医療センターにて「認知症未来社会創造センター」開設に関する記者発表が行われた。この事業は東京都が策定した「未来の東京戦略ビジョン」における認知症との共生・予防推進プロジェクトに位置付けられており、認知症との共生と予防に自治体、医療福祉、産業、アカデミアの有機的な共同作業を持続的に推進することを目的としている。

 

 地方独立行政法人東京都健康⻑寿医療センターの鳥羽研二理事長は「東京都の重点施策に「⻑寿」が取り上げられたことは我々にとって大きな喜びであると同時に、成果を求められる重責を認識して日々精進して参りたいと思います。健康⻑寿を損なう代表的な疾患として今回認知症に焦点を当て、認知症未来社会創造センターを立ち上げました。 今から20年前、介護保険が開始された2000年、首都圏などに在住する20歳以上の1,115人を対象とした調査結果では、45.6%が認知症は病気ではないと回答しています。隔世の感があります。認知症の理解に関しては、現在でも十分とは言えません。近所に認知症関連施設ができるとしたら、どうでしょう?将来自分もお世話になるかもしれないのに、不動産の資産価値が下がるなどという反対運動もいまだに聞くところです。普段使い慣れた言葉にも、思わぬ偏見が隠れています。認知症施策推進大綱の「共生」とは、認知症の人が、尊厳と希望を持って認知症とともに生きる、また、認知症があってもなくても同じ社会でともに生きる、という意味です。東京都の各地区で、これらを丹念に調査し、モデル的な改善の試みを行います。専門家は30年前のデルファイ法による調査で、認知症の根本治療薬は2020年に得られるというのが大半の一致した意見ですが、残念ながら、まだ実現には数年はかかりそうです。 当面は早期発見のため、基礎研究・臨床研究を活かした、血液などで症状のない頃から認知症の進み具合を診断できる「バイオマーカー」の開発に努めます。また、東京都や近郊の数多くの市⺠を何年にもわたって調査した結果を活かし、「認知症になりやすい程度の見える化」を示すプロジェクトを開始しました。これを活かした予防プログラムは、一部は全国的に国立⻑寿医療研究センターとともに行なっていますが、よりリスクを層別化したアドバイスを行なって効果を見ていく研究・事業につなげ、成果を都内で展開していきます」と挨拶を述べた。

 

 また、東京都健康⻑寿医療センターの許俊鋭センター長は「東京都健康⻑寿医療センターは明治5年に設立された生活困窮者救済施設である「養育院」を源流としています。100周年を迎えた昭和47年に日本の将来の高齢化を見越して、高齢者医療・福祉および研究に特化した後の東京都養育院附属病院と東京都老人総合研究所が設立され、平成21年には病院と研究所が一体となって「地方独立行政法人東京都健康⻑寿医療センター」として再出発しました。 今日、日本の人口の30%近くが65歳以上の高齢者となり、増加していく認知症対策が高齢者医療・福祉の最大の課題となっています。「認知症未来社会創造センター」は「未来の東京戦略ビジョン」における『認知症との共生・予防推進プロジェクト』であり、認知症患者が尊厳と希望をもって暮らせる社会の創造を目標としています。私共は総力を挙げて『認知症と共生する豊かな未来社会』を構築していく所存でございますので、ご支援ご鞭撻を宜しくお願い致します」と述べた。

 

 今後、認知症未来社会創造センターでは、東京都が策定した「『未来の東京』戦略ビジョン」の認知症との共生・予防プロジェクトの一環として、データベース(TOKYO 健康長寿DB)の構築、AI画像診断システムの構築、認知症リスクチャートの作成の3つの事業を行っていく。

TOPに戻る