2022.02.28(月)

機能性表示食品の届出確認に民間を活用する方針 ~消費者庁~

1月21日、公益財団法人 日本健康・栄養食品協会がオンライン形式で開催した「特定保健用食品制度 30周年記念講演会」で伊藤長官が基調講演を行った。伊藤長官は、「機能性表示食品は最近非常に伸びているため、届出の確認が大変な状況になっている」「業界の皆さんに協力いただき、民間の活力を生かし、事前確認についてご協力いただくような仕組みを是非作りたい」と述べた。現在の消費者庁商品表示企画課の人員ではさばき切れなくなりつつある模様で、民間の協力を得て届出確認の負担を減らし、食品表示企画課の主要業務である食品表示制度の事後チェックなどに力を注ぎたい考えだ。

 

 消費者庁では昨年8月に届出確認の効率化を目的に、業界団体など民間で事前確認を行う仕組みの運用を始めている。これは、同庁が認めた民間団体での事前確認を経た届出について、届出資料の提出から公開、あるいは差し戻しまでの期間の短縮化を図ったもの。ただ、事前確認を経た届出であれ、食品表示企画課でガイドラインに則した届出かどうかの確認作業を行うことに変りはなく、作業負担の実質的な軽減にはあまりつながっていないとみられる。同課で届出資料の処理作業にあたる人員は現在10人ほどといわれるが、大半が別の業務も兼務しているとみられ、人員を補強するといっても、食品表示を巡る課題は他にもある中で届出確認の体制強化ばかりに予算を充てるのは困難とみられる。

 

 機能性表示食品制度の施行からすでに6年以上が経過したが、届出件数は右肩上がりで増え続けている。2021年度の新規届出の公開件数はすでに1,000件近くで、最終的に年度別届出公開件数の過去最高を記録した前年度(1,067件)を大きく上回る模様。

 

 

伊藤長官は、1月26日の定例会見でも同様に届出確認業務のひっ迫状況を改めて訴え、中立性を確保した民間による届出事前確認の制度化を急ぐ考えを示した。現在の枠組みよりも踏み込んだ民間での事前確認の仕組みを回すことで、不備のある届出資料が提出されるケースを減らし、届出確認期間の短縮化につなげる意向だ。事前確認を行う民間団体は、行政の管理・監督下に置く方向で検討しており、「届出確認業務を民間に委託するような考えはない」と述べている。

 

 現在、「ガイドラインに則した事前確認を適切に実施できる体制が構築されていることを消費者庁が確認した団体」として、日本健康・栄養食品協会と日本抗加齢協会の2団体が事前確認に対応している。同庁では、両団体の事前確認を経た届出に関しては原則、届出資料が提出された日から30日(通常は50日)を超えない範囲で公表、不備があれば差し戻す。

この現在の方式に関しては「制度的にきちっと制御されている状況ではなく、試行的にやっているというふうに私どもとしては考えている」と述べている。

 

 制度に紐づけられた民間が届出の事前確認を行う仕組みを構築できれば、事前確認を利用する事業者が増えて不備のある届出資料が減り、届出確認期間を現行の30日からさらに短縮できる可能性は高い。伊藤長官は「最終的にはゼロ日を目指す」とした。また、今後のスケジュールは「現段階では確定的にいつまでと言える状況ではない」とし、事前確認を行う民間の位置づけや体制、事前確認業務の進め方などを整理する必要はあるが「できるだけ早い時期にやりたい」とも述べた。

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