2022.08.17(水)

景品表示法検討会  年内を目処に報告書の取りまとめへ

(イメージ写真)

 6月23日、消費者庁は「第4回景品表示法検討会」をオンラインで開催した。これまでに行われた議論や識者からのヒアリングをもとに、悪質事業者に厳正に対処する一方で、自主的な早期是正のための措置も導入するなど、メリハリのある執行の実現する方向だ。特に、今回問題となっているステルスマーケティングへの対応など、速やかに取り組むべき検討の方向性について整理した。

 

 内閣府特命担当大臣(消費者及び食品安全担当)が冒頭で挨拶し「景品表示法は1962年に制定・施行され60年が経過した。デジタル化や国際化の進展など、同法を取り巻く社会環境が大きく変化したことなどを踏まえ、消費者利益の確保を図る観点からの総合的な検討が求められている。時代の潮流なども見据えつつ、消費者がより安心して消費生活を営めるように、今後の検討の方向性を示していただきたい」と述べた。

 

 今回の検討会ではこれまでの議論を踏まえて、

  • 効率的かつ重点的な法執行の実現、
  • デジタル化等の社会状況の変化への対応、
  • 消費者利益の回復の充実等、
  • 中長期的な検討課題

の4つの枠組みに課題を整理され、検討の方向性案が提示された。

 

 重点的な法執行に関しては、違反行為を繰り返した事業者に対する課徴金算定基準の割り増しを踏まえた設定し、消費者個々の契約における損害の防止を目的とした特商法との連携を行うなど、悪質事業者への対策が盛り込まれている。

 

一方で、独占禁止法で導入されている、独占禁止法違反の疑いについて、公正取引委員会と事業者との間の合意により自主的に解決する仕組みである確約手続(改善計画)など、自主的な早期是正・再発防止する措置の導入について検討するとし、これに関しては、「相談を受ける消費生活センターなどの現場にも違反広告に対する合理的根拠の提出を求める権限を与える」など、より実態に合わせた体制づくりを求める意見が委員からあった。

 

国際化やデジタル、ステルスマーケティングへの対応が課題に!

 

 また、海外の企業が日本の一般消費者に対して不当表示を行うケースがあるという報告を踏まえ、書類送達規定の整備、海外当局との強力のための仕組みなどの国際化への対応、広告であることを明示しない広告である「ステルスマーケティング」など消費者が誤認する恐れのある表示への対応、さらに、確約手続、課徴金制度に関わる電子マネーなどの活用も踏まえた自主返金制度などによる消費者利益の回復策、都道府県や特定適格消費者団体などの連携など、執行体制の整備・連携について検討するとした。

 

 さらに、中長期的な検討課題として、「供給主体性」と「ダークパターン」が挙げられている。「供給主体性」は、事業者が景品表示法の規制対象となるために必要とされる要件で事業者が問題となる商品・役務を供給していることが認められなければ、現行法では規制できない。一方で、「ダークパターン」とは、消費者を不利な決定に誘導する表記サイト設計のことで、具体的には、在庫の少なさを強調する「あおり」や特定のボタンを目立たせる「誘導」などがこれにあたる。

 

 別の課題として、デジタル広告は新聞広告や折込チラシと違い、その保存が難しい。また、広告出稿者が商品を販売する事業者だけでなく、代理店やアフィリエイターなど多岐にわたるケースも多く、その全てに広告保存義務を課すというのは現実的ではない。悪質と認定するその基準を設け、認定された事業者に、一定期間のログ保存義務を課すなどの対策も求められるとされた。

 

 今後は7月~9月ごろに関係者・専門家などからヒアリングを行い、10月~11月ごろには議論の整理、報告書案の検討、最終的には年内を目途に報告書の取りまとめを行う予定としている。

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