発売日:3月30日
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ヒトの体を構成する体細胞の数は約 37 兆個と言われているが、それよりも遥かに多い約100兆個、種類にして数百から一千種類にも及ぶ腸内細菌が「内なる外」である人の腸管内に棲んでおり、ここは地球環境上で最も高密度に微生物が生息している場所でもある。
ヒトは食べた物を胃や小腸で消化吸収するが、腸内細菌たちは、そこで吸収されなかったものを餌として食べながら、お互いに生存競争を繰り広げている。腸内細菌の集団を「腸内細菌叢」と言い、たくさんの腸内細菌が群れを成している状態がお花畑に似ていることから、最近では「腸内フローラ」とも呼ばれる。
腸内では食物や消化液など、様々な物質が混じり合い、それが、腸内フローラへ影響を与え、個人個人独自の腸内細菌叢が形成される。さらに、個々の細菌自身の性質に加え、腸内細菌が食事をエサにして産出した物質が腸管の上皮細胞や免疫細胞、神経細胞、内分泌細胞などに作用し、腸内環境だけでなく生体機能全体にも大きな影響を与えることも分かってきた。そして、環境の変化などによってそのバランスが崩れると、腸管の免疫機能が低下し、炎症性の腸疾患や大腸がんといった腸管関連の疾患を引き起こすだけでなく、肥満や糖尿病といった腸とは直接関連のない病気までをも誘発することもわかってきている。
近年、世界的に劇的な進歩を遂げている腸内細菌叢研究。食や栄養の世界だけでなく医療や創薬の世界でも注目を一身に集めている。そして、日本で、腸内細菌叢の最先端研究の一翼を担うのが、慶應義塾大学先端生命科学研究所の福田真嗣特任准教授と福田氏が代表取締役社長CEOを務める株式会社メタジェン(本社:山形県鶴岡市)だ。体の中にある遺伝子そのものや、その遺伝子コードにしたがって作られた様々な物質、そしてさらにその物質が2次的に作り出す物質の分子を網羅的に調べるオミックスアプローチと呼ばれる最新の手法を用いて、様々な人種の健康状態の腸内フローラを見る一方で、これらの研究データを積みあげることでより正確なデータを作り出している。
健康ジャーナルPREMIUM⑥「もう1つの臓器~腸内細菌叢の機能に迫る~」では、メタジェンの4人の研究者を始めとして、大学や各研究機関の医師や科学者、さらには腸内細菌の働きをターゲットとした医薬品や食品を研究・製造・販売している企業、臨床研究を実際に行っている企業を取材することによって、メタジェンを中心とした腸内細菌叢研究の現在地を明らかにしている。