2015.02.17(火)

プロポリスの抗カンジダアルビカンス作用

アンドレサA.ベレッタ 博士

プロポリスの抗カンジダアルビカンス作用
分子生物学研究により確認される

 

アンドレサA.ベレッタ及び
グスターヴォ·エンリケ·ゴールドマン著

 

カンジダアルビカンスは、最も一般な細菌であり、常在又は日和見菌として健康な人間の皮膚及び粘膜組織に感染します。 免疫力が低下している患者では、カンジダアルビカンスは全身感染に至って、死亡率も高くなります。 植物樹脂を原料とする自然食品のプロポリスは、ミツバチが巣の入り口の防御に使う目的で生産されます。 数世紀前からプロポリスは抗菌薬、抗炎症薬、抗ウィルス薬等としても一般的に使用されてきました。 弊社の研究チームは、抗炎症、ヒーリング(癒し)及びカンジダ症等の治療法を研究しています。以前の研究では、 口腔粘膜付着性ゲル状プロポリスが陰門膣カンジダ症の治療に効果があることが証明されています。(Berretta et al. 2013)。 出芽酵母(Saccharomyces cervisae)をモデルとして、遺伝子学的、細胞生物学的及ゲノム学的に研究し、 細胞レベルでプロポリスはどのような影響を及ぼすかを研究しました。これにより、プロポリスはアポトーシスを刺激することが判明しました。 更にプロポリスの塗布によりネクローシス率が同様に増えることもわかりました。出芽酵母のプロポリスによる細胞死にはシトクロムCが関っていて、 エンドヌクレアーゼG Nuc1pは関っていないこと、更に、遺伝子メタカスパーゼYCA1がプロポリス関与による細胞死で重要な役割を果していることがわかりました。 真核生物のプロポリス対する反応に関して、遺伝子機能を解明するために、4800のハプロイド出芽酵母デレーションストレインが プロポリス敏感度に対してスクリーニングされました。それにより、138のデレーションストレインが同等の野生株に比べ異なる敏感度を示しました。 さらに、システム生物学的研究により、ミトコンドリア電子伝達鎖、液胞酸性化、ネガティブレギュレーションRNAポリメラーゼ2プロモーター、 液胞及び細胞飢餓を齎すたんぱく質をターゲットとするマクロオートファジー調整等にかかわる遺伝子のエンリッチメント解析が判明しました。 確認試験では、プロポリスの感受度はミトコンドリア機能に依存しており、液胞酸性化及びオートファジーはプロポリスによるイースト細胞死に関して 重要であることが分かりました。

 

この研究はサンパウロ大学、リオグランデドスール連邦大学及びアピス・フローラ社に所属する、 パトリシア・アルヴェス・デ・カストロ、マルセラ・サヴォルディ、ディエゴ・ボナット、 マリオ・エンリーケ・バホス、マリア・エレーナ・S・ゴールドマン、アンドレサ・A・ベレッタ及び グスターヴォ・エンリーケ・ゴールドマンにより構成されている研究チームによって アメリカン・ソサエティ・オブ・マイクロバイオロジーが出版しているユーカリオティック・セル・ジャーナルにて発表されている。

 

イースト状から菌糸増殖への移行を
プロポリスが抑制していることを確認

 

プロポリス感受性はミトコンドリア機能に依存していることと、 液胞酸性化及びオートファジーはプロポリスによるイースト細胞死に関して重要であることが解明されてから、 我々研究チームは出芽酵母にマイクロアレイ・ハイブリダイゼーション及びシステムの生物学的な分析を行い、 プロポリスを塗布した細胞の転写プロファイリングを実施しました。結論から言いますと、 プロポリスはユーカリオティック細胞の経路に大いに影響していることがわかりました。 しかし、最も目立った経路は、酸化ストレス、ミトコンドリア電子伝達系、液胞酸性化、 液胞及び細胞飢餓を齎すたんぱく質をターゲットとするマクロオートファジー調整、 並びにRNAポリメラーゼ2プロモーターによるネガティブレギュレーションであることが確認されました。 当該研究は、出芽酵母をモデルシステムとして適用し、分子レベルでこの有機体のプロポリスによる細胞死のメカニズム解明を重視し、 ゲノム機能解析を用いて、系統的にどのようにプロポリスは有機体のmRNAに影響し調整していくのかを研究した初めての試みであり、 更なる菌類におけるプロポリスが関係した細胞死の研究につながることと確信しています。これらのデータは同研究チームにより既に 「BMC Complementary and Alternative Medicine」に投稿されています。 今回、プロポリス関連細胞死の重要な点を研究するにあたり、出芽酵母を用いたことで、 プロポリスの3種類全てのカンジダアルビカンス形態の抗真菌活性化、さらにプロポリス関連細胞死はメタカスパーゼの仲介によること、 そしてRASシグナル伝達経路等を証明することができました。プロポリス耐性に関る遺伝子の選別には、 800ものカンジダアルビカンス同型接合デレーションミュータントがプロポリス耐性低下に用いられ、 その内17種が細胞接着、バイオフィルム形成、フィラメント成長、表現型スイッチング及び病因 (HST7, GIN4, VPS34, HOG1, ISW2, SUV3, MDS3, HDA2, KAR3, YHB1, NUP85, CDC10, MNN9, ACE2, FKH2, and SNF5)に関っていることが判明し、 それらを含む51種がプロポリスに対して極度に感受性が高いことが分かりました。 イースト状から菌糸増殖への移行をプロポリスが抑制していることを確認することで、それらの結果が正しいことが証明され、 更に、プロポリスを基とする外用薬を使用してモデルマウスの陰門膣カンジダ症感染をコントロールすることができました。 当研究グループの結果は、カンジダ症の抑制戦略に適用できると強く確信しています。

 

*アンドレサA.ベレッタ博士はアピス・フローラ社のR&Dマネージャーである。 *グスターヴォ・エンリケ・ゴールドマン博士は、サンパウロ大学教授である。 アンドレサ・A・ベレッタ及びグスターヴォ・エンリケ・ゴールドマンの主導で、プロポリスを基とする 薬品を用いて陰門膣カンジダ症治療を研究してきたグループより、研究資金面並びに研究所設備の面で 支援していただいたアピスフローラ社、FAPESPサンパウロ研究財団、FINEP企画研融資機関及びサンパウロ大学にこの場を借りて深く御礼申し上げる。

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