2015.02.03(火)

行政が認めた食品の機能性

「機能性食品」の概念※1987年厚生白書より改編

機能性素材特集その1 ω3脂肪酸とルテイン
「食品の機能性表示制度」の施行を見据えて

 

行政が認めた食品の機能性
データで消費者の活用能力がアップ

 

2015年、いよいよ業界の悲願であった「機能性表示」の扉が開く。昭和59年から昭和61年に実施された 文部省特定研究「食品機能の系統的解析と展開」において、食品の役割を身体に対する働き(機能)から見る 「機能性食品」という新たな概念が提唱され、食品の持つ栄養面での働き(一次機能:栄養機能)、嗜好・感覚面での働き (二次機能:感覚機能)、及び生理面での働き(三次機能:生体調節機能)の機能について研究が進められ、 この概念は昭和62年の厚生白書にも記載された。 この一連の研究のスタートとなった「食品機能の系統的解析と展開」(文部省特定研究)では、さまざまな食品成分は 生体調節機能を持つことが明らかにされるとともに、「食品成分のもつ生体防御、体調リズム調節、疾病の予防と回復等に 係わる体調調節機能を、生体に対し十分に発現できるよう設計し、加工された食品」として「機能性食品」は定義されていた。 しかし、残念ながらこれらの動きは、日本の政治や行政、業界の複雑な事情に巻き込まれ30年の間、 紆余曲折の流れに翻弄される結果となってしまった。30年たったこの時点で新たに「機能性表示食品」として、 やっとスタート時点に戻ってきたといった感がある。今回の機能性表示制度は錠剤・カプセル型の形状にとどまらず、 加工品や農産物までに機能性表示を認めようという画期的な制度であり、運用次第では世界基準に発展する可能性すら秘めている。 しかし、一方、今まで健康食品業界にはなじみのなかった、「UMIN登録」「RCT」「システマティックレビュー」等、 スタート時点では決して低くないハードルを求められる可能性があるなど、まだまだ解決しなければならない問題が 山積みであることも事実だ(2015年1月30日現在)。実は今回の機能性表示解禁では、個々の商品の機能性表示ができる、 できないといったことよりもはるかに大きなメリットがあると考える。ここで、機能性表示が解禁になる意味を、 もう一度しっかりと考えてみる必要があるのではないだろうか。まず、今回の制度では重要なことは、 全ての食品に何らかの機能性があるということを国や行政がお墨付きを与えたことだと思う。 今まで日本では、保健機能食品以外には食品の機能性が事実上認められていなかった。信じられないだろうが、 今でも行政機関の窓口では、「食品にはおなかを満たすこと以外の機能性はない」と言われることすらあるのが現実である。 個別に機能性を表示する、しないという問題よりも実はこの部分の方がはるかに大きい。 さらに安全性と機能性のデータに嫌が上でも注目が集まる。これも個々の問題ではなく「機能性食品」全体としてみた時にはメリットは大きい。 今まで全く一般消費者の目に触れなかった食品のデータが大手を振って世に出てくるわけである。 また、もう一つ重要なことは「消費者に分かりやすく伝える」ことが重要課題としてあがっていることだ。 まだ「指針」が明らかになっていない時点で軽はずみなことは言えないが、何らかの形で消費者への啓蒙が制度上必須になる。 業界としてはこんなにありがたいことはない。今までは、ほとんど説明できなかった「食品の機能性」は、 一転して今後は説明が義務付けられることになる。もちろん機能性表示が可能になる商品や素材に限られるのだが、 こういった啓蒙が部分的にでもできるのであれば、必然的に消費者のリテラシーは上がる。 食品の機能性を理解できる素地が出来上がってくるというわけだ。

 

トップクラスのデータがあるω3脂肪酸とルテイン

 

さて、今回は数ある健康食品素材、食品素材の中でもその保有データでは間違いなくトップクラスにランクされる 2つの素材にスポットを当ててみた。それが「オメガ(以下ω)3脂肪酸」と「ルテイン」だ。 今回の機能性表示制度の対象は、食事摂取基準に掲載されている栄養素は栄養政策上今回のスタート時には 対象から外れることになる。つまりω3脂肪酸としてはスタート時の機能性表示の対象にはならない。 しかしその構成要素である、例えば「EPA」「DHA」「αリノレン酸」「PS(ホスファチジルセリン)」 「PC(ホスファチジルコリン)」等は条件が整えば、当然、機能性表示の対象となる。近年の研究によってこれらそれぞれの ω3脂肪酸は構造式が非常に似ていながら、それぞれが非常に面白い機能性を発揮することがわかってきている。 一方、「ルテイン」はアメリカで2013年5月に発表されたAREDS2において、有効性が広く証明された。 豊富な臨床データと安全性データを世界各国で積み上げ、特に有名になった「加齢黄斑変性への機能性」だけでなく、 さまざまな機能性を持つことが次々と発表されている。非常によく似たゼアキサンとの相乗効果の研究も進み、ますますその機能が注目される素材である。

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