2015.04.08(水)

「機能性表示食品制度」がいよいよスタート

3月24日に開催されたJADMA主催「機能性表示食品制度」前夜祭における対談の模様

「機能性表示食品制度」がいよいよスタート

 

公益社団法人日本通信販売協会主催
「機能性表示食品制度」前夜祭より

SRや「免疫」表示に関する見解明らかに

 

2015年4月1日、「機能性表示食品制度」がいよいよスタートした。 すでに大手食品企業などを中心に申請が行われているようだが、新制度施行と前後して 業界団体をはじめとするセミナーや勉強会が活発に開催されてきた。ここでは、 3月24日に公益社団法人日本通信販売協会が主催した「機能性表示食品制度」 前夜祭の第2部で行われた対談「機能性食品表示制度を深く知る」を中心にレポートする。

 

2015年3月24日、東京都江東区内で開催された公益社団法人日本通信販売協会主催の 「機能性食品表示制度」前夜祭には約600人の業界関係者らが参集。4月1日から施行の新制度に対する関心の高さがうかがえた。 前夜祭は、第1部は「機能性表示食品制度に備える」、第2部「機能性表示食品制度を深く知る」、第3部「機能性表示食品制度を語る」 ──の3部構成となっており、多角的な視点から新制度を解析する内容となっていた。 このなかで関心度が高かったのが、第2部の「機能性表示食品制度を深く知る」。 これは消費者庁食品表示企画課担当者とJADMAサプリメント部会による対談形式で行われたもの。 業界サイドからの質問に消費者庁担当者が回答するスタイルで、新制度の様々な疑問についてわかりやすく回答を得られるという内容だった。 このなかでまずポイントとしてあがったのが、システマティックレビュー(SR)について。これについて消費者庁側は、 「(新制度が)世界でもスタンダードとなることを踏まえてのもの」とし、さらに企業の負担についても 「文献検索は臨床試験の実施と比べてコストが安い。そのため方法のひとつとしてSRがある」との見解を示した。 また、SRとして認められる論文等の数に対する質問に対しては具体的な回答はなく、あくまでも企業側の申請手順に委ねられるとのことだった。 業界関係者が最も注目するところの「どんな表示ができるのか?」については、①最終製品を用いた臨床試験で科学的根拠を説明した場合 「本品にはA(機能性関与成分)が含まれるので、Bの機能があります。」②最終製品に関する研究レビューで科学的根拠を説明した場合 「本品にはA(機能性関与成分)が含まれ、Bの機能があることが報告されています。」③機能性関与成分に関する研究レビューで 科学的根拠を説明した場合「本品にはA(機能性関与成分)が含まれます。AにはBの機能があることが報告されています。」と改めて説明。 さらに「疲労回復」の表示に対する質問については、「エビデンスデータがしっかりしていればOK」としたものの、 「疲労の種類にはいろいろある」ことなどを示唆し、表示に関する問題点についても提起した。 同じように表示内容に関してその位置づけが話題になっている「免疫」についても言及。これに対しては、 「『免疫』=即アウトというわけではない」と回答。ただし、臨床試験やシステマティックレビュー等から得られた 科学的根拠が実態にリンクしているのかどうか、たとえば試験管レベルで免疫系の活性が確認できたとしても、 それが人体においても同じように作用するのかが明らかにされなければ「免疫」の表示はむずかしいという印象だった。 同じく「抗酸化」について同様の見解であったが、免疫の表示以上にむずかしいと思われる回答だった。

 

「企業の責任」を繰り返し強調

 

また、表示内容についての留意点として消費者庁側が強調していたのが、医薬品等との相互作用などがある場合の表示について。 これは安全性の確保という大前提にも通じるものであるが、注意喚起が必要なケースでは目立つような表記を求めていた。 全体の質疑応答を通しては、消費者庁側はこの新制度があくまでも「企業の責任において取り組む制度」であることを繰り返し強調。 4月1日から新制度がスタートし、すでに大手企業を中心に申請書類が届いているはずであるが、 おそらく6月上旬にも第1号商品が登場する見込み。本紙調べでも数社が「申請」との回答があったが、一方では 「様子見」あるいは「申請しない」と明言する企業も少なくない。 また、ガイドラインで明らかになった新制度に対して批判的な声もあり、 第1号商品が登場するまで新制度の真価はベールに包まれたままかもしれない。

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