2015.07.21(火)

青汁特集

青汁特集

 

「青汁」市場拡大基準続く代表的素材へ
規格基準定まりさらなる発展へ期待

 

健康食品の代表的な素材のひとつである「青汁」。 日本ではすでに健康食品市場において完全に定着した感があり、 かつ一番大きな市場を形成している素材でもある。矢野経済研究所の調査によると 青汁の市場は2013年度市場規模(メーカー出荷金額ベース) で560億円(前年度比5・8%増)、近年引き続き拡大基調である。 また6月1日には公益財団法人日本健康・栄養食品協会が 「青汁」の規格基準を発表。製品規格は「ケール」「大麦若葉」「アシタバ」「クワ葉」 「クマザサ」「ボタンボウフウ」の6種類となっている。 さらなる市場拡大が期待される「青汁」について包括的にまとめてみる。  

 

健康的な生活を送るためには、1日350g以上の野菜(厚生労働省:健康日本21での1日目標摂取量) を摂取することが理想とされている。しかし、これだけの野菜を毎日食べ続けるのは 現実問題なかなか大変だ。しかも野菜そのものの栄養価が著しく低下している現代の食生活では、 慢性的な野菜不足に陥りやすいのも事実。そこで、その不足分を手軽に補うことができるという役割が 「青汁」の人気のひとつであろう。さらに、様々な素材が青汁原料として使われており、生薬的な薬効を 持つ成分を有する素材も少なくない。すでに、青汁成分由来の食物繊維で「おなかの調子を整えたい方や お通じの気になる方に適した食品」として特定用途食品の許可を取得している商品もあり、本年から スタートした機能性表示食品にも近い将来、登場してくるものと思われる。天然由来の素材という安心感と 手軽さで、日本初の青汁は欧米では「Green Juice」として認知されており、緑茶「Japanese Tea」 「Green Tea」とともに今後期待の高まる素材の一つでもある。日本最古の医書『医心方』にも 登場する青汁は、日本各地で飲まれてきており、健康に寄与する食品として古くから知られていた。 しかし地域が限られていたり、一部の人間の間で知られたりする範囲でもありその認知度は限定的であった。 一説には、戦後、食糧難の時代に飢えをしのぐために、野生の葉を食べたところ、食べた人間の体調が 良くなったことから注目されたとの話もある。日本では何といっても、1990年代に、 全国区のバラエティ番組で当時の青汁の飲みづらさを逆手に取った「罰ゲーム用品」として 使われたことが認知度を飛躍的にアップさせたきっかけであろう。同時に、それまでは九州限定だった 「あーっ、不味いーっ! もう一杯」というCMが全国区で放映されるに従い、CMに出演していた俳優 の強烈な個性や言葉のインパクトもあって「青汁」が一気に全国的に知られるようになった。2000年 に入ってから、当初、青汁素材として中心的であった「ケール」以外にも様々な原料が青汁素材と使われる ようになり、味の点でも大幅な改良がくわえられ、美味しい青汁が次々と登場して、健康食品としての確固 たる市民権を得た。さらに近年は、より飲みやすさを追及したり、様々な栄養素をプラスするなど、 ニーズに合わせた改良が重ねられ、「良薬口に苦し」と言う印象だった青汁は、手軽でおいしく、 お手頃価格でしっかりと栄養補給が出来るというイメージに大きく様変わりし、さらに進化を続けている。

 

植物トリテルペノイドの確認や
総クロロフィル量など統一規格設定

 

青汁商品は粉末や顆粒の状態で水に溶かすタイプが多いが、他にも飲料のまま、また青汁をそのまま 冷凍したままでの販売も有名だ。色が緑色なのに「青汁」としているのは、古語での用法の名残である。 日本語古語では、今の「緑色」は青と表現しており、青という言葉の意味は、若い、新鮮、瑞々しい、 生き生きしたといった状態をも表していた。「青春」という言葉の「青」はまさにその意味で使われており、 野菜は今でも「青菜」「青物」と表現するのはこれらの名残である。やはり青汁素材において、 元祖はケールであろう。ベータカロチンが多く、他にもカルシウム、ビタミンCなどのビタミンやミネラル、 抗酸化フラボノイド、クロロフィル、さらには食物繊維も豊富だ。一方、大麦若葉はアクが少なく飲みやすいため、 近年青汁素材として急速に利用されだした代表格で、他の野菜とも合わせやすい。明日葉のカルコン、 桑の葉のデオキシノジリマイシン(DNJ)といった特徴的な独自の成分を含む素材もある一方、北海道に 自生するクマイザサ(熊笹)や九州南部の一部にしか自生しないボタンボウフウ(長命草)など、 植物そのものにストーリーを持つものも多く、消費者はそのストーリーも一緒に楽しむことができることも 青汁の大きな特徴の一つだ。一方、青汁は一般的にカリウム、リン、ビタミンA等を多く含んでおり、 人工透析をおこなう患者は注意が必要。また、ビタミンKを多く含むため、循環器系の疾患対策の薬剤を 飲用している場合、その効果が弱くなることがある。さて、6月1日に公益財団法人日本健康・栄養食品協会が 「青汁」の規格基準を発表した。製品規格として「ケール」「大麦若葉」「アシタバ」「クワ葉」 「クマザサ」「ボタンボウフウ」の6種類。植物トリテルペノイドを確認すること。総クロロフィルとして、 30㎎/100g以上であること。(液状など、そのまま飲用するものにあっては、3mg/100g以上)、 1日の摂取目安量総クロロフィルとして1・2mg/1回(1食)以上(目安)との統一規格を設定した。 青汁市場は今後、機能性表示食品制度はもちろん特定保健用食品、栄養機能食品といったそれぞれの カテゴリーを上手に取り込みながら、進化・変貌を繰り返し、さらなる成長を遂げていくものと思われる。

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