2015.12.01(火)

制度の屋台骨を支える受託企業と素材メーカー

制度の屋台骨を支える受託企業と素材メーカー
機能性表示食品制度スタートから8カ月を検証

 

機能性表示食品制度のキーポイントは
機能性・安全性の科学的根拠と品質管理

 

機能性表示食品制度は本年4月1日のスタートからすでに8か月が経過した。11月27日現在で届出受理件数は151(取り消し2件を含む)。今回の制度では原則すべての情報が消費者庁のホームページで公開されており、ここで確認すれば届出受理製品の全てを把握することが可能。様々な意見にさらされる中、まずは順調な船出といっていいのではないだろうか?

 

さて、今回の機能性表示食品制度(以下:制度)では、機能性の科学的根拠、安全性の科学的根拠、そして生産・製造及び品質の管理がとくにキーポイントになる。「機能性の科学的根拠」に関しては臨床試験のほか、制度の目玉の1つである研究レビュー(システマティックレビュー)が採用されたことで、企業が参入できるハードルは下がったと言えるだろう。ただし、下がったといっても特定保健用食品(トクホ)に比べて下がったというだけで、どの企業でも超えられる簡単なレベルまで下がったわけではない。PRISMA声明準拠の研究レビューは、それなりの専門家でないとなかなか完結することは難しく、さらに今回、消費者庁の届出受理事業が大きく遅れている一つの要因でもある。「実際の表示と科学的根拠のブリッジング」においては、いまだそのラインさえも見えない状況で、届出する企業側としては模索が続いている状況である。また、「安全性の科学的根拠」においても、ガイドラインでも明確なラインは示されておらず、加工品では販売実績も安全性の根拠となるために販売期間や販売量に関して消費者団体から疑義情報があがるなどいまでも議論の的になっている。一方で、生産・製造及び品質の管理は、GMP、HACCP、ISO、FSSCなどの各製造認証は必須条件とならなかったものの、届出に記入する必須項目を精査すれば、少なくともこれら製造認証と同等のレベルでの管理が行われていないと、実質届出受理は難しいと考えられる。特に素材の同一性確認の問題や、サプリメント形状の加工品の場合の崩壊試験などは、以前から業界で言われていたにもかかわらず、なかなか統一の基準が見えないでいた中で、逆に制度によって、一定の基準が確立した形となった。今回は実際に届出受理されている製品の、機能性や安全性の科学的根拠を支えた素材メーカー2社、受託企業4社を取材して、今回の制度の基礎の部分を探ってみた。素材メーカー2社は、11月末の時点で、機能性表示食品として採用された素材数の1位と2位、さらに、偶然ではあるが受託企業は4社とも、いずれも米国cGMP認証工場を持つというのは面白い。この取材記事を通して、別の視点から制度を見ることによって、また新しい気づきがあるかもしれない。

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