2016.02.16(火)

特集 アスタキサンチンの今

アスタキサンチン化学構造
■アスタキサンチンとは■

アスタキサンチンは自然界に広く分布するカロテノイドの一種で、キサントフィルに分類される。ヘマトコッカス藻などの植物が自ら作り出すことが知られており、サケ科など魚類の筋肉の赤色部分、甲殻類の殻、甲殻類を餌とするマダイの体表など、自然界に広く分布している。ヘマトコッカス藻などの植物をオキアミなどの動物プランクトンが食べ、さらにエビ、カニ、魚類、というように食物連鎖によってさまざまな生物の体に取り込まれている。アスタキサンチンは生体内のタンパク質と結合して黒っぽい青灰色をしているが、加熱によって分離すると本来の赤色に変色する。カニなどの甲殻類を茹でると赤くなるのはこのため。サケは本来、白身魚だが、体内に蓄積したアスタキサンチンの色素により赤くなる。ヘマトコッカス藻は淡水生単細胞緑藻で、普段は緑色をしているが、紫外線などの環境の変化でストレスを感じると体内にアスタキサンチンが作られ、赤く変色し、身を守っているといわれている。機能性素材としては1996年頃から市場に登場し、世に広く知られるようになった。

『抗酸化』から『抗疲労』をキーワードに研究すすむ
広がる用途の幅にますますの市場規模拡大を期待

アスタキサンチンはもともと眼のピント調節機能をサポートし、眼の調子を整える機能があると報告されているが、その他にもメタボ対策や運動パフォーマンス向上、さらには美容に関連して美肌作用など多種多様にわたる機能性が確認されているように健康食品、化粧品への配合が着実に広がっている。さらに一般加工食品のほか食品添加物や着色料としての採用も進んでおり、他の機能性素材とは異なる特性を持っている。今回はアスタキサンチン業界の主要メーカー動向などを中心に、特徴的なエビデンスデータや業界内の 最新情報などについてまとめてみる。


抗酸化物質として知られるアスタキサンチン。2013年にアスタキサンチン工業会により、「ヘマトコッカス藻アスタキサンチン」の品質規格基準が作られ、企業らからの信頼が増した。また、機能性表示食品制度がスタートし、「眼のピント調節機能をサポートする」などの表示が出てきていることでますます存在感を増している。業界関係者からは「次に注目されているのは『抗疲労』」であるとし、研究レビューの準備を行っている企業があるとのことで、アスタキサンチンに秘められた機能性が明らかになっていくと期待されている。さらにアスタキサンチンが持つ抗酸化機能をはじめとする数多くの機能性からアスタキサンチンの底力に期待が集まっている。昨年のニュースではJX日鉱日石エネルギー社が米国から、アスタキサンチン生産菌「Paracoccus carotinifaciens E−369株」由来のアスタキサンチン原料を健康食品原料としてスタートするなど、アスタキサンチンのシェアが広がってきている(健康ジャーナル2015年9月1日号既報)ほか、現在では食品添加物や着色料としても注目されている。現在、上代で18億円規模の市場を持つとされているアスタキサンチンだが、ますます市場規模を拡大していくことが予想されている。というのは、アスタキサンチンの抗酸化力に注目した食品添加物や赤色・朱色の着色料としてのアスタキサンチンの用途についてだ。食品添加物や着色料として、天然物で藻類由来であるアスタキサンチンはイメージが良い。また、これらの業界は大きな市場でもあり、継続的に原料が動くということから、業界関係者からは期待が寄せられている。以下に、各原料メーカーの企業動向を紹介する

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