2022.11.07(月)

順天堂大学 オメガ6脂肪酸の男性ホルモン産生における役割を解明 ~加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)への治療応用の可能性~

 順天堂大学大学院医学研究科生化学・細胞機能制御学の研究グループは、オメガ6脂肪酸の男性ホルモン産生における役割を解明した。オメガ6系の高度不飽和脂肪酸は従来から精巣に多く存在することが知られていたが、その生理的意義はよく分かっていなかった。研究グループの解析の結果、オメガ6系の高度不飽和脂肪酸が男性ホルモンの元となるコレステロールの貯蔵に重要であることを発見した。本成果は、テストステロン補充療法以外に根本的な治療法が無かった加齢男性性腺機能低下症候群に対してオメガ6脂肪酸の投与による新規治療法の可能性を示すもので、本論文はCommunications Biology誌に2022年9月21日付で公開された。

 

 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群、Late-onset Hypogonadism Syndrome)は、全身の疲労感や倦怠感、性欲低下などの身体的症状と、集中力の低下や抑うつなどの精神的症状を特徴とする中高年男性における疾患で日本には600万人の患者がいるとされている。男性ホルモンであるテストステロンの減少が主な原因で、テストステロン注射などの補充療法が一般的に用いられる。一方、男性ホルモンの産生や精子形成を担う精巣では、他の臓器に比べてオメガ6系の高度不飽和脂肪酸が非常に多く存在することが知られていたが、その生理的意義はあまり分かっていなかった。

 

 研究グループは高度不飽和脂肪酸の生理的意義を解明することを目的に、高度不飽和脂肪酸の生合成を担う脂肪酸不飽和化酵素であるFADS2(Fatty Acid Desaturase 2)に着目し解析を行ってきた。そして、今回、マウス精巣において男性ホルモン産生を担う細胞であるライディッヒ細胞にFADS2が高発現することを見出し、FADS2のライディッヒ細胞における生理機能を解明することを目的として様々な生化学的解析を実施した。

 

 この研究では、FADS2を特異的に認識する抗体を作製しその抗体を用いて免疫組織学的解析を行ったところ、マウス精巣では・・・・・・

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