2023.10.12(木)

クレアチンは認知機能や記憶力を改善?

 クレアチン摂取をテーマに執筆され、査読システムのあるジャーナルに掲載された研究論文はこれまでに1,000件をはるかに超えている。多くのエビデンスが、筋肉量や除脂肪体重、筋力パフォーマンス、およびトレーニング後の回復におけるクレアチン一水和物の有用性を示している。

 

 一方で、近年、クレアチンの研究の焦点は、骨格筋やスポーツ/運動のパフォーマンスから、健康や臨床での応用の可能性へと移ってきている。このパラダイムシフトの主要なターゲットの一つに、脳の健康と機能に対するクレアチン摂取の影響が挙げられる。

 

 動物を用いた研究からは、クレアチンが学習と記憶を含む認知タスクにおいて重要な役割を果たすと報告されている。例えば高齢のマウスにクレアチンを与えると、物体認識記憶が改善するなどの変化が認められ、さらにニューロンの成長、神経保護作用なども観察されると報告されている。

 

 クレアチンによる認知機能への影響には性差があることが示唆されている。アルツハイマー病のモデルマウスのメスは、9週間のクレアチン摂取によって、空間認知力が向上し逃走すべき条件での反応時間が短縮した。しかし、オスマウスではそのような効果はみられなかったという。

 

 ヒトを対象とする知見も増えている。それら個々の研究報告は、クレアチン摂取により認知機能の改善が実証されたとするものと、何の変化もみられなかったとするものが混在している。効果がみられたとする研究では、例えば健康な高齢者(68~85歳)を対象にクレアチン20g/日を摂取してもらったところ、記憶力の改善が認められたという。反対に・・・・

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