健康ジャーナル

【2014年7月1日号より】
 

連載:ふかせひろしのキトサン徒然草 その4

2014年8月7日から8日第28回シンポジウム開催
期待したい医療分野での新知見
研究分野の大きな広がり感じる

日本キチン・キトサン学会の主催による「第28回キチン・キトサンシンポジウム」が、8月7日・8日の両日、順天堂大学(東京都文京区本郷2-1-1)で開催される。運営委員長は長岡功順天堂大学教授。
共催は日本化学会、日本生物工学会。協賛はキトサン工業会、グルコサミン研究会、高分子学会、セルロース学会、日本栄養・食糧学会、日本応用糖質科学会、日本吸着学会、日本食物繊維学会、日本水産学会、日本生化学会、日本DDS学会、日本糖質学会、日本農芸化学会、日本バイオマテリアル学会、日本膜学会、日本薬学会。
いまから17年前の第11回キチン・キトサンシンポジウムを振り返ると、共催は日本農芸化学会、日本水産学会、日本応用糖質学会、協賛は日本薬学会、高分子学会とわずかに5学会だけであった。 こうして見ると、キチン・キトサンに関連する研究分野の大きな広がりがわかる。
第28回キチン・キトサンシンポジウムのプログラムの特別セッションは、以下の3セッションの開催予定が発表されている。
①「キチン・キトサンの医療応用」(オーガナイザー:防衛医科大学校・石原雅之教授)
②「さまざまな生物種のキチナーゼ:構造と機能」(オーガナイザー:工学院大学・小山文隆教授)
③「バイオナノファイバーの新展開」(オーガナイザー:鳥取大学・伊福伸介准教授)
一般講演、ポスター発表の演題の詳細はまだ決まっていないようだが、キチン・キトサンおよび関連酵素の基礎ならびに応用研究に関する最新の成果が発表される。
医療、健康分野に関する最近のキチン・キトサンの研究では、生体への適合性が高い、創傷の治癒促進、免疫活性能を持つ、などの特性があることからドラッグデリバリーシステムに利用できる医用材料としての研究やキトサンの単糖であるグルコサミンの関節軟骨損傷に対する効果などの研究が進展している。
またキトサンをナノファイバーとする技術開発が進み、生体への影響、活性効果などの研究にも力が入っている。
たとえば皮膚のバリア機能の強化、潰瘍性大腸炎のモデルマウスを用いた実験での、大腸のNF|kBの活性化、 単球伸走化性の促進や活性酸素放出促進などに働く因子であるMCP|1や大腸の線維化抑制などが明らかにされつつある。
さらに慢性腎不全モデルラットを用いて、キトサンを摂取させた実験で、血清クレアチニンや血中インドキシル硫酸の低下が確認されるなど腎臓の保護と抗酸化作用をもつ可能性が明らかにされている。
今回のシンポジウムでも、これらの研究がさらに進められてヒトの健康促進、病気の治癒促進に役立つ成果の報告が期待されている。

【つづく】

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